、この暗き溪の中にあまたの束《たば》をなして衰へゆく魂を見る悲しみにまさらじ ―六六
ひとりは俯《うつむ》きて臥し、ひとりは同囚《なかま》の背にもたれ、ひとりはよつばひになりてこの悲しみの路をゆけり 六七―六九
我等は病みて身をあぐるをえざる此等の者を見之に耳をかたむけつつ言《ことば》はなくてしづかに歩めり 七〇―七二
こゝにわれ鍋の鍋に凭《もた》れて熱をうくる如く互に凭れて坐しゐたる二人《ふたり》の者を見き、その頭より足にいたるまで瘡斑點《かさまだら》をなせり 七三―七五
その痒きことかぎりなく、さりとてほかに藥なければ、彼等はしば/\おのが身を爪に噛ましむ 七六―
主《きみ》を待たせし厩奴《うまやもり》または心ならず目を覺《さま》しゐたる僕の馬梳《うまぐし》を用ふるもかくはやきはいまだみず ―八一
爪の痂《かさぶた》を掻き落すことたとへば庖丁の鯉またはこれより鱗大なる魚の鱗をかきおとすごとくなりき 八二―八四
わが導者そのひとりにいひけるは、指をもて鎧を解きかくしてしば/\これを釘拔にかゆる者よ 八五―八七
この中《なか》なる者のうちにラチオ人《びと》ありや我等に告げよ、(かくて願
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