請ひを兼ねて 六四―六六
汝は我に角《つの》ある焔のこゝに來るを待つを否むなかれ、我わが願ひのためにみたまふ如く身をかなたにまぐ 六七―六九
彼我に、汝の請ふところ甚だ善し、この故に我これを容る、たゞ汝舌を愼しめ 七〇―七二
我既に汝の願ひをさとりたれば語ることをば我に任《まか》せよ、そは彼等はギリシア人《びと》なりしがゆゑに恐らくは汝の言を侮るべければなり 七三―七五
焔近づくにおよびて導者は時と處をはかり、これにむかひていひけるは 七六―七八
あゝ汝等二の身にて一の火の中にあるものよ、我生ける時汝等の心に適ひ、高き調《しらべ》を世に録《しる》して 七九―
たとひいさゝかなりとも汝等の心に適へる事あらば、請ふ過ぎゆかず、汝等の中ひとり路を失ひて後いづこに死處をえしやを告げよ ―八四
年へし焔の大いなる角、風になやめる焔のごとく微《かすか》に鳴りてうちゆらぎ 八五―八七
かくて物いふ舌かとばかりかなたこなたに尖《さき》をうごかし、聲を放ちていひけるは 八八―
一年《ひとゝせ》あまりガエタ(こはエーネアがこの名を與へざりしさきの事なり)に近く我を匿《かく》せしチルチェと別れ去れる時 ―九
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