》のひとりその背をあらはし、またこれをかくすこと電光《いなづま》よりも早かりき 二二―二四
またたとへば濠水《ほりみづ》の縁《ふち》にむれゐる蛙顏をのみ出して足と太《ふと》やかなるところをかくすごとく 二五―二七
罪人等四方にうかびゐたるが、バルバリッチヤの近づくにしたがひ、みなまた煮《にえ》の下にひそめり 二八―三〇
我は見き(いまも思へば我心わなゝく)、一匹《ひとつ》の蛙殘りて一匹《ひとつ》飛びこむことあるごとくひとりの者のとゞまるを 三一―三三
いと近く立てるグラッフィアカーネ、脂にまみれしその髮の毛を鐡搭《くまで》にかけ、かくして彼をひきあぐれば、姿さながら河獺《かはうそ》に似たりき 三四―三六
我は此時彼等の名を悉く知りゐたり、これ彼等えらばれし時よく之に心をとめ、その後彼等互に呼べる時これに耳を傾けたればなり 三七―三九
詛はれし者共聲をそろへて叫びていふ、いざルビカンテよ、汝爪を下して彼奴《かやつ》の皮を剥《は》げ 四〇―四二
我、わが師よ、おのが敵の手におちしかの幸なき者の誰なるやをもしかなはゞ明《あきら》めたまへ 四三―四五
わが導者その傍《かたへ》にたちよりていづく
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