代へらる ―四二
かくいひて彼を投げいれ堅き石橋をわたりてかへれり、繋《つなぎ》はなれし番犬《ばんいぬ》の盜人を追ふもかく疾《はや》からじ 四三―四五
彼沈み、背を高くして再び浮べり、されど橋を戴ける鬼共叫びていひけるは、聖顏《サント・ヴオルト》もこゝには益なし 四六―四八
こゝに泳ぐはセルキオに泳ぐと異なる、此故に我等の鐡搭《くまで》好ましからずばこの脂の上にうくなかれ 四九―五一
かくて彼等は彼を百餘の鐡鉤《かぎ》に噛ませ、こゝは汝のかくれて踊る處なれば、盜みうべくば目を掠《かす》めてなせといふ 五二―五四
厨夫《ちゆうふ》が庖仕《ばうじ》に肉叉《にくさし》をもて肉を鍋の眞中《まなか》に沈めうかぶことなからしむるもこれにかはらじ 五五―五七
善き師我に曰ふ、汝は汝のこゝにあること知られざるため、岩の後《うしろ》にうづくまりておのが身を掩へ 五八―六〇
またいかなる虐《しひたげ》わが身に及ぶも恐るゝなかれ、さきにもかゝる爭ひにのぞめることあれば我よくこれらの事を知る 六一―六三
かくいひて橋をわたりてかなたにすゝめり、げにそのさわがぬ氣色《けしき》をみすべきは彼が第六の岸にいたれる時
前へ
次へ
全374ページ中112ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング