罪とを知るをうべし 三四―三六
我、汝の好むところみな我に好《よ》し、汝は主なり、わが汝の意《こゝろ》に違ふなきを知り、またわが默《もだ》して言はざるものを知る 三七―三九
かくて我等は第四の堤にゆき、折れて左にくだり、穴多き狹き底にいたれり 四〇―四二
善き師は我をかの脛《はぎ》にて歎けるものゝ罅裂《われめ》あるところに着かしむるまでその腰よりおろすことなかりき 四三―四五
我曰ふ、悲しめる魂よ、杙《くひ》の如く插されて逆《さか》さなる者よ、汝誰なりとももしかなはば言《ことば》を出《いだ》せ 四六―四八
我はあたかも埋《いけ》られて後なほ死を延べんとおもへる不義の刺客に呼戻されその懺悔をきく僧の如くたちゐたり 四九―五一
この時彼叫びていひけるは、汝既にこゝに立つや、ボニファーチョよ、汝既にこゝに立つや、書《ふみ》は僞りて數年を違へぬ 五二―五四
斯く早くもかの財寶《たから》に飽けるか、汝はそのため欺いて美しき淑女をとらへ後|虐《しひた》ぐるをさへ恐れざりしを 五五―五七
我はさながら答をきゝてさとりえずたゞ嘲りをうけし如く立ちてさらに應《こた》ふるすべを知らざる人のさまに似たりき 
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