サの血族の一人(從兄弟との説あり)ウベルチーノを殺せり
【カルリン】カルリーノ。同じパッチ家の一人、一三〇二年、フィレンツェの白黨と共にピアントラヴィーニの城(アルノの溪にあり)を守れる間、黄金を貪りてフィレンツェの黒黨と内通し之を城内に入らしめしため白黨多く殺され或ひは虜はれたり
【待つ】アンテノーラに落ち來るを待つなり、その罪甚だ大にしてこれに比すればカミチオネの罪さへいとかろしとみゆればわが罪をいひとくといへり
七〇―七二
以下アンチノーラを敍す
【犬の如く】註釋者或ひは色の蒼黒きをいふといひ或ひは齒をむき出すをいふといふ
【凍れる沼】池水の凍れるを見るごとに地獄の底を思ふなり
七三―七五
【重力】地、三四・一一一參照
七九―八一
【彼】ボッカ、フィレンツェなるアバーチ家の者、モンタペルティの戰ひ(地一〇・八五―七註參照)酣なりしころグエルフィ黨にまじりて戰ひゐたりしボッカは、旗手ヤーコポに近づきてその手を斬りフィレンツェ騎兵の軍旗を倒せり、是に於てかグエルフィの士氣大いに沮喪し遂にかの大敗を抱くにいたれるなり
八八―九〇
【アンテノーラ】第二圓の名、トロイアの老將アンテノルの名よりいづ(これ後代アンテノルを以てトロイアを賣れるものゝ如くいひなすにいたればなり)
一〇〇―一〇二
【あらはさじ】顏を上げて
一一五―一一七
【彼】ブオソ、クレモナ市(ミラーノの東南約六十哩)ヅエラ家の者なり、一二六五年ロムバルディアのギベルリニ黨に推され王マンフレディの命によりて一方の將となりシヤルル・ダンジュウの南進を防がんためパルマの附近に陣取りたりしがフランス軍より賄賂をうけ一戰にも及ばずして自由に敵を通過せしめきといふ
一一八―一二〇
【ベッケーリアの者】テサウロ・デイ・ベッケーリア。パーヴィア(ミラーノの南約二十二哩)の人にてヴァルロムブロサ(フィレンツェの東)僧院の院主なり、フィレンツェを逐はれしギベルリニ黨とひそかに歡を通じこれを郷土に入らしめんとしたりとの罪により一二五八年フィレンツェにて馘らる
一二一―一二三
【ガネルローネ】『ローランの歌』(地、三一・一六―八註參照)に名高き模範的賣國奴なり、彼シャルルマーニュの軍中にありてサラセン人の王より莫大の贈物を受けシャルルに説きてその軍を引上げしむ、こゝに於てかピレネイ連山のかなたに止まれるその後陣、敵の襲撃にあひロンチスパルレの敗戰となりてシャルル部下の名將多くこれに死せり
【テバルデルロ】ファーエンヅァの者、一二七四年ボローニアなるラムベルタッチ家(ギベルリニ黨)の人々その郷土を逐はれてファーエンヅァに來れり、テバルデルロはこれらの者に私怨をいだき一二八〇年ボローニアなるジエレメーイ家(グエルフィ黨)の人々を迎へ入れ多くの逐客を殺害せしむ
【眠れる】テバルデルロが門をひらきてグエルフィをファーエンヅァに導ける時は昧爽なりき
【ジャンニ・デ・ソルダニエル】フィレンツェの貴族にてギベルリニ黨に屬せる者なりしが一二六六年騷擾市民の間に起れる時己が黨與を棄てゝグエルフィ黨にくみしその權勢を振はんとはかれり
一三〇―一三二
【ティデオ】テュデウス、テバイを圍めるギリシア七王(地、一四・六七―七二註參照)の一なり、テバイ人メナリッポスと戰ひ致命傷をうけしかども奮つて敵を殺し猶餘怨を霽さんため侶に請ひて首級を得その骨を噛めり
一三九
我死なずして物言ふをえば
第三十三曲
アンチノーラの罪人の中にウゴリーノ伯爵なる者ありてその悲慘の最期をダンテに告ぐ、詩人等さらに第三の圓にいたりこゝに友を賣れる者をみ、かつファーエンヅァのアルベリーゴとかたる
一〇―一二
【言】(地、一〇・二五―六參照)言の形にあらずして音を指せるなるべしといふ
一三―一五
【伯爵ウゴリーノ】ウゴリーノ・デルラ・ゲラールデスカ、ピサの貴族、十三世紀の前半に生る、一二八四年ピサの艦隊を率ゐてゼーノヴァと戰ひメロリアの海戰に敗れてピサにかへり、市を擾亂の中より救はんため若干の城をルッカ及びフィレンツェの軍に交付して以て敵の主力をわかてり、同年選ばれてポデスタとなり、その孫ニーノ・ヴィスコンティ(女婿ジョヴァンニ・ヴィスコンティの子、地、二二・七九―八四註及び淨、八・四六―八註參照)と共に市政を行へるもいくばくもなくこれと相爭ひ、ピサのグエルフィ黨また彼等に與して相わかるゝにおよびて葛藤止む時なく黨勢とみに衰ふ、ギベルリニ黨の首領大僧正ルツジェーリ時の至れるを見てひそかに爲す所あらんとし、まづウゴリーノを助けてニーノを逐はしむ、一二八八年ニーノ、ピサを去りて後ルツジェーリ乃ち伯の罪状を擧げて民心を煽動しこゝに猛烈なる市街戰を見るにいたれり
この戰ひ遂にグエルフィ黨の敗に歸し一二八八年七月ウゴリーノ及びその二子二孫共に
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