、キニュラスの女なり、非倫の慾を滿たさんため變裝して己が父を欺きこれと罪を犯すにいたれり(オウィディウスの『メタモルフォセス』一〇・二九八以下)
四〇―四五
【群の女王】ブオソの所有せる騾馬、この騾馬は當時トスカーナ州第一と稱せられし名馬なりければスキッキは前記遺言書の中に一項を加へてこれを己の所有とをせり
五二―五四
水分の營養化せざるもの惡所に停滯して身ために權衡を失ひ顏瘠せ腹脹る
五五―五七
【エチカ】熱病の一種
五八―六三
【マエストロ・アダモ】プレシヤの人
【水の一滴】ルカ、一六・二四富者の言に、父アブラハムよ我を憐みてラザロを遣はし指の尖を水にひたしてわが舌を冷やさせ給へ
六四―六六
【カセンティーン】カセンティーノ。アペンニノ山間アルノの溪の一地方
七〇―七二
神の正義はわが犯罪地なるカセンチィーノのあたりの水ゆたかに空氣涼しき處を我に思ひ起さしめ、これによりて却つてわが苦を増しわが歎きを大ならしむ
七三―七五
【ロメーナ】カセンティーノの城。グイード伯爵家の所有たり
【バッティスタの像】フィレンツェの貨幣は一面に守護神なる洗禮者ヨハネの像あり一面にこの市のしるしなる百合の花形ありしなり
【燒かれし】アダモはカセンティーノ附近のコンスマといふ處にてフィレンツェ人により火刑に處せらる(一二八一年)
七六―七八
【グイード、アレッサンドロ、彼等の兄弟】グイード、アレッサンドロ及びアージノルフォ。ロメーナの伯爵にて三人共兄弟なり、アダモに勸めて通貨を贋造せしむ
【フォンテ・ブランダ】シエーナなるフォンテ・ブランダ(泉の名)最も名高く古註皆これをもつてダンテの指すところとす、されどその後ロメーナ附近に同名の泉あること知れ(フラティチェルリ註參照)近代之をあぐる註疏家多し
七九―八一
【ひとり】グイードなるべしといふ
【身繋がる】病ひの爲に動く能はざるをいふ
八二―八七
【十一哩】第十嚢の周圍はまさしく第九嚢の半にあたれり(地、二九・九)、地獄全體の大なることしるべし、されど或ひはこれを標準として第八嚢を四十四第七嚢を八十八哩と計算する人あるも思ふにこれ必ずしも詩人の意にあらじ
八八―九〇
【カラート】一※[#「オンス」の単位記号、307−7]の二十四分の一フィレンツェの金貨は二十四カラートの金なるにアダモの贋造貨幣は二十一カラートの金に三カラートの混合物を加へしものなり
【フィオリーノ】フィレンツェの本位貨幣。一面に花(フィオレ)の形あるよりかく名づけしもの
九四―九六
【巖間】greppo は、破鉢(古義)
九七―九九
【僞りの女】エヂプト王パロの司なるポテパルの妻、ヤコブの子ヨセフに思ひを懸けその己の意に從はざるをうらみて無實の罪をこれに責はしむ(創世記三九・六以下)
【シノン】トロイア軍中ギリシア人の殘せる木馬(地、二六・五八―六〇註參照)に就きての評定まち/\にして容易に決せざりし時シノンは恰もギリシア軍に背きて逃れ來りしものゝ如くみせかけ王プリアモスに近づきて巧みに辯を弄し遂に木馬を城内に曳入らしむ(『アエネイス』二・五七以下)
一〇三―一一五
【これにも】シノンの拳にも
一〇九―一一一
【火に行ける】火刑に處せられし時はその手縛られて動かすをえざりしなり
一一二―一一四
【トロイアにて】王プリアモスに木馬のことを問はれし時
一一五―一一七
【鬼より多し】貨幣の數即ち罪の數なり(地、一九の一一四參照)
一一八―一二〇
【誓ひ】『アエネイス』二・一五二以下にシノンが手をあげて日月星辰を指しその言の眞なるを證せしこといづ、馬は即ち木馬なり
一二四―一二六
汝世にある日僞りの口を開き身の禍ひを招ける如く今も我を罵りて却つて我にいひこめらる
【己が禍ひのために】異本、惡をいはんため
一二七―一二九
【ナルチッソの鏡】水
ナルチッソ(ナルキッソス)の物語はオウィディウスの『メタモルフォセス』三・四〇七以下にいづ、ある河神の子なりき嘗て水を呑まんとて澄める泉のほとりにいたり水にうつれる己が姿を見之を慕ふあまりに此處を放れずして死せり
一三〇―一三二
【少しく愼しむべし】Or pur mira! 思ひのまゝにみよと裏をいへるなりとの説あり
一三六―一三八
【すでに然るを】事實夢なるを夢ならざる如く
一三九―一四一
あまりに恥ぢかつ惑へるため却つて詫の詞出ねばこの無言の表情乃ち是詫なるを思はずしてなほ詞をもて詫びんとせるなり


    第三十一曲

かくして後最後の岸を横ぎりマーレボルジェ中央の坎にいたればこゝに多くの巨人ありその一アンテオなる者導者の請に從ひ兩詩人を第九の地獄におくる
一―三
【舌】ウェルギリウスの
【先には】地、三〇・一三一―二
【染め】恥、頬を赤く染めしなり
【藥】慰藉(地、三〇・一四二以下)
四―六

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