オ者ラヴェンナを治めたり
【チェルヴィア】ラヴェンナの南約十二哩アドリアティコ海濱の町にて當時ポレンタ家の治下に屬せり
四三―四五
【邑】フォルリ、一二八一年法王マルチーノ四世多くのフランス人にイタリアのグエルフィ黨を加へし一軍をローマニアに遣はしこの地方のギベルリニ黨を攻めしを、この軍久しくフォルリを圍みしかども城善くその難に耐へ城主グイード・モンテフェルトロ兵を集めて市外に突進し大に敵軍を敗れり
當時フォルリを治めしオルデラッフィ家の紋は上半金地に緑の獅子(ベンヴェヌーチ Benvenut の説による)あるものなりしかばフォルリを緑の足の下にありといへるなり
四六―四八
【ヴェルルッキオの猛犬】マラテスタ家、ヴェルルッキオはリミニの西南約十哩にある城の名、この城久しくマラテスタ家の所有たり、古き犬は第五曲の中なるパオロ及びその兄ジャンチオットの父にてマラテスタ・ダ・ヴェルルッキオといひ新しき犬はその長子乃ち前二者の異母兄にてマラテスティーノといふ、父子共に獰猛リミニ及び其他の領地に君となりて民の膏血を絞れり
【モンターニア】リミニ市ギベルリニ黨の首領なるモンターニア・デ・パルチターティ、一二九五年マラテスタ父子のために虜はれて獄中に死しリミニ市彼等の手に落つ
四九―五一
【白巣の小獅子】マギナルド・パガーニ・ダ・スシナーナ(淨、一四・一八―二〇參照)家紋白地に青の獅子を用ゐたり
【夏より冬に】四季のたえず變遷する如くマギナルドの時宜に應じて黨與を變ぜるをいへり、史家ヴィルラーニ曰、この者ローマニアにてはギペルリニ黨に屬しフィレンツェにてはグエルフィ黨に屬せりと
【ラーモネ】川の名によりて町を示す、即ちラーモネ河畔のファーエンヅァ
【サンテルノ】同上、サンテルノ河に近きイモラ
五二―五四
【洗はるゝもの】チェゼナ、サーヴィオ河畔にある町、一三〇〇年チェゼナ自治制を布き年々ポデスタを選びて政務をとらしめこの者政權を亂用し市民を虐ぐる恐れあるにいたれば直ちにこれを追へり
五五―五七
【人】地獄内なる他の罪人、或曰、ダンテ自身よくグイードの問に答へしをいふと
六一―六三
【この焔は】我は何事をも其人に語るまじ
六四―六六
地獄に苛責を受くる者多くは、詩人の傳言によりて在世知友の間に新しき記憶を呼起さんことを願へり、チヤッコ(地、六・八九)ピエール・デルラ・ヴィーニア(地、二二・五五―六)みたりのフィレンツェ人(地、一六・八五)等これなり、しかるにこれに反し一方には生者にあふを恥辱としつとめてその罪業を掩はんとするものあり、カッチァニミーコ(地、一八・四六)この曲のグイード、コチートのボッカ(地、三二・一〇〇―一〇三)等これなり
六七―七二
【帶紐僧】聖フランチェスコ派の僧。身に紐を帶ぶるを以てこの名あり(九一―三行註參照)、グイードが結縁の身となりしは一二九六年のことなり
【大いなる僧】法王ボニファキウス八世
七三―七五
わが世に住みし間の行は猛者の行といはんよりはむしろ奸智に長けし者の行なりき
七九―八一
ダンテの『コンヴィヴィオ』四、二八・一四以下に曰く
クリオがその『老年論』にいへる如く自然の死は長き航海の後なる港また休みともいひつべし、されば良き舟人の港に近づくにあたり其帆をおるしてゆるやかに船を操りしづかにそこに入る如く、人また地上の活動の帆ををさめその志を盡し心を盡して神に歸るべきなり
八五―八七
【ファリセイびとの王】法王ボニファキウス八世、即ち當時の僧侶(僞善者)の王なり、僞善者を第二のパリサイ(ファリセイ)人といへるは聖書によれり(マタイ、二三・一三等)
【ラテラーノ】ローマ市の一部、コロンナ家はラテラーノなる聖ジョヴァンニの寺院近き處にありしなり
一二九七年法王ボニファキウス八世軍を起してコロンナ家を攻め遂にペネストリーノ(ローマを距る約二十四哩)にあるその本城を圍むにいたれり、されどこの城はアペンニノ連峰の裾にあり要害堅固にして容易に落つべくもあらざりければ法王やがてグイードの智を借り奸計を用ゐてこれを奪へり
【サラチーノ(サラセン)人、ジュデーア人】法の爲、教の爲、異教徒と戰へるにあらず
八八―九〇
その一人だに教に背きキリスト教徒たる實を失ひしはなし
【アークリ】シリアの一市、パレスチナなるキリスト教徒最後の苦戰その效なく、一二九一年、サラセン人の手に歸せり
【ソルダーノの地】ソルダン。アークリ陷落の後法王令旨を下し一般キリスト教徒のイスラム教徒と貿易を行ふことを禁ぜり、ソルダンの地は主にアレクサンドレア及びエヂプトを指す
九一―九三
【瘠する】戒めと斷食によりて身瘠するなり
【紐】天、一一・八七に卑しき紐といひ同一二・一三二に紐に上りて神の友となりとあり、身を卑しうして貧しき者と親しみ慾を戒めて上帝と親
前へ 次へ
全94ページ中82ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング