て淺瀬を渡り第二の圓にむかふ
一―三
【物】一一行以下のミノタウロス(ミノタウロ)
四―六
【トレント】イタリア北方の山地にある町(チロルの南)
【アディーチェ】川の名、チロルよりいでヴェロナの市街を貫流し北イタリアの平野を過ぎてアドリアティコ海に入る
山壞れのありしところはトレントとヴェロナ兩市の間なるロヴェレートの町に近き處にてスラヴィーニ・ディ・マルコといひ一三〇二年ダンテ逐はれてヴェロナに客たりし時親しく見し處と傳へらる
一〇―一五
【くだけし坎の端】破岩により成る第六獄の端
【クレーチの名折】ミノタウロス(ミノタウロ)
神話に曰、ミノタウロスは牛頭人體の怪物なり、その母パシファエ(パシフエ)(淨、二六・四一)はクレタ(クレーチ)島(ギリシアの南地中海にあり)の王ミノス(地、五・四にみゆるミノスの孫)の妻なりしが海神ポセイドンよりミノスに賜はれる牡牛を慕ひ當時の名匠ダイダロスの造れる木製の牝牛の中に入りて遂にミノタウロスを生むに至れり
一六―一八
【アテーネの公】テセウス(テゼオ)
神話に曰、ミノスはミノタウロスの生れしを恥辱とし、ダイダロスの造れる一迷宮の中にこれを幽して外に出づるをなからしめ且つ年々若き男女各※[#二の字点、1−2−22]七人をアテナイに課してこの怪物の食に宛てたり、アテナイ王アイゲウスの子テセウス(地、九・五四)ミノスの不法を憤り海を渡りてクレタに赴きまづミノスとパシファエの間に生れしアリアドネ(乃ち、汝の姉妹)の歡心を得その教に從ひ歸路に迷ふことなからんため絲を身に結びて迷宮に入りミノタウロスを殺せり
三四―三六
【地獄に下れる】エリトネ(エリトン)の命をうけて(地、九・二二以下)
三七―三九
【ディーテ】地獄の王ルキフェル(ルチーフェロ)
キリスト地獄にくだり第一の獄乃ちリムボにとゞまる人類の始祖アダムの魂をはじめ多くの魂をルキフェルの手より奪ひ去りしことあり(地、四・五二以下)この時より少しく前といへるは即ちキリスト磔殺の時を指せるなり、地獄内の岩の壞れを教祖磔殺の時に起れることゝなせるはマタイ、二七・五一に、地震ひ岩裂け云々とあるによれり
四〇―四五
【宇宙愛に】エムペドクレス(地、四・一三八)の説を指せり
エムペドクレス思へらく宇宙は愛と憎の如き異分子の結合によりてその常の状態を持續するものなれば若し一方の力勝ち類その類と相合ふにいたる時は却つてこれがために混亂の状態に變ずと
四六―四八
【血の河】地獄の川の一なるフレジェトンタ(地、一四・一三〇以下參照)
四九―五一
異本、あゝ失明の慾よ狂へる怒りよ
四九行よりは地の文なり
五二―五四
【告げし】地、二・三〇、三七―九
五五―五七
【チェンタウロ】ケンタウロス、暴びの代表なり、神話にいふ、この者胸部より上は人にして下は馬なりと
【世に住みて】ケンタクロスはもとギリシアのテッサリア山地の蠻民なりしを次第に誤り傳へて妖怪となせしなり、骨格逞しき山地の蠻民が肥馬に跨がつて狩にいでし姿はげに半人半馬の怪物群を成して横行するの風情ありしなるべし
六四―六六
【キロン】キロネ、ケンタウロスの一、クロノス神の子、天文、醫藥、音樂、狩獵の諸術に通じ兇猛なるケンタウロスの中にありてひとり異彩な放てり、ホメロスかつてこれをよびてケンタウロスの中の最も義しきものといへることあり、また善く人と親しみアキレウスの父ペレウスとテチスの媒となり又自らアキレウスの師となれり、ウェルギリウスが殊更にキロンをえらべるも此等の消息に通ぜるによりてなり
【禍ひをえき】死を抱くにいたれり(ネッソの條參照)
六七―六九
【ネッソ】ネッソス、神話に曰、ヘラクレスその妻デイアネラ(デイアニーラ)と旅してエウェノス河(ギリシア)に至れる時こゝにケンタウロス、ネッソスの川越人足をなしゐたるを見、妻をその背に托し自らまづ川を渡り岸に着きて後をみしにネッソスはデイアネラを負ひしまゝ逃げさらんとするところなりければ乃ち弓にてこれを射その矢ネッソスの胸を貫けり、ネッソス死に臨み血に染みし己が衣をデイアネラに與へこの衣には男の心を放れしめざる不思議の力ありと欺き教ふ、この後いくばくもなくヘラクレスの心他の女にうつれりとの評さかんなるなきゝデイアネラ乃ちネッソスの衣をこれに送れり、ヘラクレス之を着くるに及びて忽ちその毒に感じ苦悶甚しく遂にオエタ山上に死せり(オウィディウスの『メタモルフォセス』九・一〇一行以下)
七〇―七二
【胸をみる】沈思の状
【はぐゝめる】教育せる(六四―六行註參照)
【フォーロ】フォロス、ケンタウロスの一、テセウスの友ピリトウスとヒッポダーミアの婚姻の筵に招かれ酒に醉ひて暴れ廻り自ら死を招くにいたれり(オウィディウスの『メタモルフォセス』一二・二一〇以下)
八二―八四
【二の象
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