yテゼオ】テセウス、神話に曰、テセウスはアテナイ王アイゲウスの子なり、その友ピリトウスを助けペルセフォネを奪はんとて地獄に下りハデスの捕ふるところとなる、後エルクレ(ヘラクレス)地獄にゆきて之を救へりとテセウスに十分の怨みをむくいしならば世の人おそれて再び地獄に入來る者あるまじかりしを
五五―五七
【ゴルゴン】メヅーサの頭
六一―六三
メヅーサの譬喩的解説につきてはダンテの眞意明かならず古來或ひはこれを異端邪説の象徴とし、或ひは色慾、貪婪、恐怖、嫉妬、疑惑、絶望等の表示とし異説甚だ多し、されどおもふにディーテの城は放縱の罪乃ち情を制する能はずして犯せる罪と邪惡乃ち惡心衷に萌して人を害するにいたりし罪とをわかつ境にあるものなれば、メヅーサを邪惡の代表と見做す説採るべきに似たり、その頭を見る人化石するはディーテ城外の罪と異なり惡念心に入りて習性的色彩を帶びあたかも惡性の痼疾の醫藥に於ける如く解脱の望みさらになきを示せり(詳しくはスカルタッチニの註にいづ、スカルタッチニはエリニュエスを本心の苦しみ乃ち自責としメヅーサを疑念と解せり)
六七―七二
【反する熱】異なる地方の熱
七九―八一
【一者】天使、兩詩人をたすけて門内に入らしめんため特に天よりくだれるもの
【魂】怒る者の魂
【徒歩にてスティージェを渡るに】或ひは、スティージェの渡りをわたるに
九七―九九
【チェルベロ】ケルベロス、(地、六・一三)、神話に曰、ヘラクレス天の命によりて地獄にくだれる時ケルベロスこれにさからひたれば鎖をもてこれをいましめ地獄門外に引出せりと
【毛なき】鎖のあと
一〇〇―一〇五
【ほかの思ひ】天に歸るを願ふ心
一一二―一一五
【アルリ】アルル。ローダーノ(フランスのローン川)河畔の町、河水わかるゝにあたり停滯して一湖をなす、名高き墓地ありしところ、傳説に曰、シヤルルマーニュ(カルロ・マーニオ)こゝにサラセン人と戰ひキリスト教徒の死者甚だ多くして葬るに暇なかりしが神恩これに臨み一夜にして無數の墳墓現出せりと
【ポーラ】イストリア(現今オーストリヤ領)の南端にある町、昔ローマの墓地ありし處、カルナーロ灣はアドリアティコ海の一部にてイストリアの岸を洗ふ
一二七―一二九
【邪宗】こゝに eresia といへるは寺院の教理に反して靈魂の不滅キリストの神性等な認めざりし者の謂なり
【荷】罪人、一の墓の中に多くの罪人を葬れるなり
一三〇―一三二
【右】詩人等地獄をくだるに常に道を左にとれり、これ罪の道は左より左にむかひ、惡より惡に進むを示せるなり(地、一四・一二六參照)しかるにこれに反し道を右にとれること二囘ありその一はこの處、他は地、一七・三一にいづ、この二囘の例外につきてはダンテの眞意知りがたし


    第十曲

詩人等第六の地獄の中エピクロス(エピクロ)及びその一派の者の葬らるゝところにいたりし時ダンテはこゝにファーリナータ及びカヴァルカンテとかたり前者の言によりてその身のフィレンツェより逐はるべきを知る
一―三
【かくれたる】異本、狹き
一〇―一二
【ヨサファット】エルサレムに近き溪の名、最後の審判の行はるゝところ(ヨエル書三・二及び一二)
一三―一五
【エピクロ】エピクロス、有名なるギリシアの哲學者、エピクロス學派を起せるもの(前三四一―二七〇年)
一六―一八
【願ひ】フィレンツェの者を見んとの願ひなるべし
一九―二一
【今のみならじ】多言を愼しむの意を起さしめしは今のみにあらず(地、三・七六―八一參照)
二二―二四
【トスカーナ】ダンテの郷國、フィレンツェこの中にあり
二五―二七
【郷土】フィレンツェ
【虐げし】フィレンツェのグエルフィ黨を惱まし(三一―三行註參照)
三一―三三
【ファーリナータ】フィレンツェなるウベルティ家の出、一二三九年ギベルリニ黨の首領となる、一二五八年その徒黨と共に郷土を逐はれてシエーナにいたりこゝに同志を糾合し同六〇年九月グエルフィ黨とモンタペルティ(八五―七行註參照)に戰ひ大いにこれを敗る(一二六四年死)
三七―三九
【明かならしめよ】政敵に對して言語の明截的確なるべきを注意せしなり
四三―四五
【從はん】ウェルギリウスの注意に背かざらんため
【眉をあげ】過去の記憶を呼起すさま
四六―四八
【かれら】ダンテの父祖は皆グエルフィ黨なりければ
【兩度】一二四八年友び一二六〇年
四九―五一
【前にも後にも】一二五一年及び一二六六年
【術】フィレンツェに歸ること、一二六六年ベネヴェントの戰ひの後グエルフィ黨再びフィレンツェに歸りギベルリニ黨はこゝより逐はる、一二八〇年にいたりて兩黨調停の事あり、されどウベルティ一家の者はなほその郷土に入るを許されざりき
五二―五四 或ひは、この時頤まであらはなりし一の魂これとならびてあらはれいでたり

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