ルートを見、のち獄内に進む、この獄二に分たれ一には貪り貯へし者一には妄りに費せる者罰せらる、導者は命運を論じつゝダンテと共に此處を過ぎて第五の地獄にくだり忿怒の罪を犯せる者スティージェの沼泥濘の中にひたりて相爭ふをみる
一―三
【パペ・サタン・パペ・サタン・アレッペ】〔Pape` Sata`n, Pape` Sata`n aleppe !〕 怒れるプルートの詞、義不明
七―九
【狼】貪りをあらはすこと地、一・四九と同じ
一〇―一二
【ミケーレ】ミカエル、天使の長(ユダ、九)、魔軍と戰ひこれに勝つ(默示録一二・七―九)
【非倫】strupo(姦淫、強姦)、ルキフェル一味の魔軍が慢心を起して神に背くにいたれること
神と人との關係を男女の關係によりてあらはせること聖書に例多し(詩篇、七三・二七、イザヤ、一・二一等)
一六―一八
【第四の坎】第四の地獄
一九―二〇
【誰ぞ】汝正義にあらずして誰ぞ
二二―二四
【カリッヂ】カリブディス。ホメロス、ウェルギリウス、オウィディウス等の詩に見えて名高き渦卷、メッシナ海峽(イタリア、シケリア間)にあり、イオニオ海の潮とチレニア海の潮(逆浪)とうちあひて波荒く古より航海の難所たり
【リッダ】大勢にて舞ひめぐる舞踏の一種
二八―三〇
第四の地獄には貪る者と費す者と同一の罰を受く、圈二に等分せられその一乃ち兩詩人の左には貪る者(三八―九行)同じく右には費す者あり、罪人等胸にて重荷をまろばしつゝ各※[#二の字点、1−2−22]その半圈を來往し半圈の兩端なる分岐點にいたれば彼此こゝにうちあひ、これと同時に費す者は貪る者にむかひて何ぞ貪り貯ふるやと罵り貪る者は費す者にむかひて何ぞ漫りに費すやと難じ各※[#二の字点、1−2−22]踵をめぐらして一端にむかひかくして限りなくその觸[#底本では一字あき]をくりかへすなり
三一―三三
【歌】何ぞ溜むるや云々なる罵詈の叫び
三七―三九
【僧】cherci 僧侶たると俗僧たるとを問はずすべて寺院に屬する者をいふ
四〇―四二
【ほどよく】一方は費すべきに費さず一方は費すべからざるに費せるなり
四六―四八
【カルディナレ】寺院の高官、七十人相集まりてローマの聖團を組織し法王選擧の權を有す、當時寺院に屬するものゝ貪婪なること俗衆に比して更に甚しきをいへるなり
五五―五七
【二の】半圈の兩端なる
【手を閉ぢ】固く握りて放たざる守錢奴のさま
【髮を短くし】浪費者の姿、イタリアの諺に dissipato fino a'capelli(髮の毛までも遣ひ果す)といふことありと
五八―六〇
【美しき世】天堂
【いはじ】汝のしたしく目撃するところなれば
六一―三
【戲】或ひは、力、空なる事、欺、と解する人あり
七〇―七二
【わがいふところ】命運に關するダンテの所説は多くボエティウス(天、一〇・一二四―六註參照)の著書に據れり
七三―七八
神は日月及びその他の諸天を造りたまひ、これと同時に此等諸天の運行を司るもの即ち各種の天使をも造りたまへり、是に於てか九種の天使九個の天にわかれて輝きいづれもその神より附與せられたる光の割合に應じて天の全體を照すなり、これと等しく神は世界に命運なるものを立てゝその光輝となるべきもの即ち財産、地位、名譽等を司らしめたまふ
七九―八一
【血】血統
八五―八七
【神々】天球の運行を司る靈體乃ち九種の天使、これらの天使の諸天を司るに似たり
八八―九〇
【流轉】命運のめぐり來るにあひて世の幸をうくる人、相ついで出づ
九一―九三
【十字架につけ】責め誹り
九四―九六
【はじめて造られしもの】天使
九七―九九
【進みしとき】地、一・一三六、星の傾くは子午線を過ぎ西にむかひて降るなり、時夜半を過ぐ乃ち一三〇〇年四月九日聖土曜日の初めなり
一〇三―一〇五
【ペルソ】地、五・八八―九〇註參照
一〇六―一〇八
【スティージェ】ディーテ(地、八・六八)を繞れる沼
スティージェは神話にいづる地獄の川の一なり、神々この川によりて誓ひを立てしこと古詩に散見す
一一八―一二〇
泥水の下に沈める者は忿怒の罪人の一種にして邪氣を宿し怨みをいだき沈鬱陰險なる徒なり
一二一―一二三
【空氣】地上の
【無精の】accidioso 心のひきたゝぬ、美しき日の光をうくるもなほ樂しまず快き外界の響きに應ぜざる
一二四―一二六
【聖歌】反語、歎聲
一二七―一二九
坂(第四と第五の地嶽の間の)と沼との間の路をあゆみてこの地獄の大部分をへめぐり


    第八曲

彼等進んでディーテの城樓の下にいたりフレギュアスの船に乘りてスティージェの沼に浮びこゝにフィリッポ・アルゼンティなる者にあふ、やがて岸につきてディーテの門にむかふに魔軍群集して之を固め彼等の内に入るを許さず
一―三
【續いて】第七曲の物語をうけて

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