【火】聖靈(愛の火)は父と子よりいづ(天、一〇・一―三參照)
一二四―一二六
「永遠の光」より「己のみ己を知り」までは三一の神を指す、「己に知ら」るゝは子[#「子」に白丸傍点]として父にさとらるゝなり、「己を知」るは父として子をさとるなり、「愛し微笑」むは聖靈のはたらき
一二七―一二九
以下一四一行まで神人兩性の示現を敍す
【輪】子の象徴なる輪
一三〇―一三二
【同じ色】原、「己が色」、即ちその輪と同じ色。この色にて人の像を畫けるは神と人と完全に結び合へることを表はす
一三三―一三五
【圓を量らんと】一定の圓を容積等しき方形に準じ、かくして圓を量らんと
ダンテは『デ・モナルキア』(三、三・九―一〇)にて、幾何學者がかゝる換算を知らざるをいひ、さらに『コンヴィヴィオ』(二・一四・二一七以下)にてその不可能なるをいへり
一三六―一三八
【かの像】人の像《かたち》いかにして神の圓とかくよく結び合へるや、いかにしてその中にあるをうるや。換言すれば神人合一の秘義
一三九―一四一
【わが翼】わが智力
【一の光】神恩の光
一四二―一四五
【力を缺きたり】心眼既に窮極の度に達し、さらに進みて天上の機微をうかゞふ能はざるをいふ
【されど】ダンテの思ふ所欲する所ことごとく神意と合するにいたれるをいふ
【輪】輪の各部相調和し、整然たる運動を保ちてめぐり進むごとく
【愛】神
【動かす】天堂の一篇「萬物を動かす者の榮光」にほじまり、「日やそのほかのすべての星を動かす愛」に終る
[#改丁]
□天界は凡て十天より成る、即ち中古の天文學による七遊星(月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星)の諸天及び恒星、プーリーモ・モービレ、エムピレオの三天是なり。エムピレオは眞の天堂にて神こゝにいまし諸天使諸聖徒また皆こゝに在り。されど諸聖徒はその享くる福の一樣ならざるを明かにし、各※[#二の字点、1−2−22]その類に從ひてダンテと語り、諸天の地上に及ぼす影響を示すをえん爲その性に應じ七遊星の間に別れて詩人に現はる。しかして第八天にては諸聖徒皆キリストの凱旋軍となりて再びこれに現はれ、第九天にては諸天使その階級の數に從ひ九個の環となりてこれに現はる(圓にてはその定住の天なるエムピレオに置けり)。
□ダンテは地上の樂園を離れ、ベアトリーチェに導かれつゝ昇りゆき、地球に最も近き天より次第に遠き天にいたり、遂に至高の天に達し、ベアトリーチェの己が座席に歸るに及び、聖ベルナルドゥスの教へを受けまたその助けによりて至上の光明を仰ぎ、こゝに最後の天啓を受く。
□ダンテが天堂に費せる時間は明らかならず。
底本:「神曲(下)」岩波文庫、岩波書店
1958(昭和33)年8月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「神曲」の原文は、三行一組の句を連ねる形式を踏んでいます。底本は訳文の下に、「一」「四」「七」と数字を置いて、原文の句との対応を示していますが、このファイルでは、行末に「一―三」「四―六」「七―九」を置く形をとりました。
※底本が用いている「〔」と「〕」は、「アクセント分解された欧文をかこむ」記号と重なるため、「【」と「】」に置き換えました。
入力:tatsuki
校正:浅原庸子
2005年11月26日作成
2006年5月19日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全49ページ中49ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
山川 丙三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング