る者は汝の思ひが未だ成らざるさきに現はるゝかの鏡を見ればなり 六一―六三
されど我をして目を醒《さま》しゐて永遠《とこしへ》に見しめまたうるはしき願ひに渇《かは》かしむる聖なる愛のいよ/\遂《と》げられんため 六四―六六
恐れず憚《はゞか》らずかつ悦ばしき聲をもて思ひを響かし願ひをひゞかせよ、わが答ははや定まりぬ。 六七―六九
我はベアトリーチェにむかへり、この時淑女わが語らざるにはやくも聞きて、我に一の徴《しるし》を與へ、わが願ひの翼を伸ばしき 七〇―七二
我即ち曰ふ。第一の平等者《びやうとうじや》汝等に現はるゝや、汝等|各自《おの/\》の愛と智とはその重《おも》さ等しくなりき 七三―七五
これ熱と光とをもて汝等を照らしかつ暖めし日輪が、これに比《たぐ》ふに足る物なきまでその平等を保つによる 七六―七八
されど人間にありては、汝等のよく知る理由《ことわり》にもとづき、意《おも》ふことと表《あら》はす力とその翼同じからず 七九―八一
是故に人間の我、自らこの不同を感ずるにより、父の如く汝の歡《よろこ》び迎ふるをたゞ心にて謝するのみ 八二―八四
我誠に汝に請《こ》ふ、この貴き寶を飾る生く
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