蕗Eの幸に向はず、常に眞の幸を求むる
迷ひなき天たありてさへ、われこの小《さゝや》かなる尊さに誇りを感じたれば、迷ひ多き世の人のこれに誇るも異しむ足らず
【衣】血統《ちすぢ》の尊さは美しき衣の如し、されど時なるもの鋏をもてたえずこの衣を斷ちこれを短うするが故に日に日に補ふにあらざれば身の飾りとなし難し(祖先の誇りも子孫の徳に補はれざれは永く保たじ)
一〇―一二
【ヴォイ】複數代名詞の voi(汝等)を單數代名詞 tu(汝)の代りに用ゐて敬意をあらはす。ローマ人がかく一人に對して複數代名詞を用ゐしことはまことは三世紀に始まれるなれど、かれらがカエサルに對してかゝる敬語を用ゐしをその濫觴とすとの説中古一般に信ぜられきといふ
前曲にてはダンテ、カッチアグイーダにむかひて tu の變化なる te(八五行)を用ゐたり。また『神曲』中ダンテがこの敬語(即ちヴォイ)を用ゐし例はブルネット・ラティーニ及びベアトリーチェに對せる場合に見ゆるのみ、但しこの語の變化を用ゐし例はその他にもあり
【その族の中にて】註釋者曰。他のイタリアの市民間にはこの複數の敬語今猶多く用ゐらるれどもローマの市民最も多く tu
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