トマス・アクイナスの『神學大全』(一、二、一三・六)に據れり。ピッカルダの言は二つの疑問をダンテの心に起し、等しくその解答を求めしがゆゑにダンテ選擇に惑ひて問ふこと能はざりきとなり、次聯の例また同じ、オウィディウスの『メタモルフォセス』(五・一六四以下)に饑ゑたる虎の譬へあるなど思ひ合はすべし
【自由の人】自由の意志を有し、いづれをも選ぶをうる人
四―六
【犬】何れを逐ふべきか知らずして
一三―一五
【ナブコッドノゾル】ネブカドネザル。バビロニアの王なり、嘗て夢の爲に心をなやまし、所の智者等を召して夢とその解釋《ときあかし》とをともに奏せと命じ、かれらの答ふる能はざるを見、怒りのあまり悉くこれを殺さんとす、ダニエル(ダニエルロ)異象により一切を知りて王に奏し、智者等を救ふ(地、一四・一〇三―五註參照)
ベアトリーチェがダンテの言を俟たずしてその疑ひを知りかつこれを解きてその心をしづめしこと、猶ダニエルが王に問はずしてその夢を知りかつこれをときあかしてその怒りをなだめしごとし
一九―二一
誓ひを果さんとの意志だに變らずば、たとひ他人の暴虐にあひてその志を全うせずとも、罪その人に歸せざる
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