ノあり、故に地球と太陽との中間を隔てん爲には後退すること六天宮ならざるべからず
一〇〇―一〇二
また或人は曰ふ、こは月の爲ならず太陽自らその光を隱せる爲なれば、地上の闇は西の際涯《はて》より東の際涯に及びたりと
一〇三―一〇五
【ラーポとビンド】中古フィレンツェに最も多く用ゐられし名にてラーボはヤーコポの略、ビンドはヒルデブランドの略なりといふ
一〇六―一〇八
【羊】信徒
【己が禍ひを】益なき雜説を聞きて寺より歸るは無智の爲なれど、極めて肝要なる靈の糧につきてかく無智に、いかなる牧者にも信頼するは信徒自身その罪なきにあらざるなり
一〇九―一一一
【眞の礎】福音の眞理
一一五―一一七
【僧帽脹る】説教僧に自得の色あり
一一八―一二〇
【鳥】鬼(地、二二・九六參照)。聖靈の導によらず惡魔の靈感によりて言を發す、人もしその眞相を知らば罪の赦を得んとてかゝる僧に就くことの無益有害なるを覺らむ
一二一―一二三
【是においてか】教へを説く者かくの如くなるがゆゑに
【證】法王より赦罪の權を委ねられたりとの證。約束[#「約束」に白丸傍点]は即ち赦罪の約束
一二四―一二六
【聖アントニオ】聖アントニウス。エジプトの隱者にて僧院生活の基を起せる者(二五一―三五六年)。こゝにてはこの派に屬する僧侶等を指す、かれら施物をもて豚を飼ふ、フィレンツェ市にてもこれらの豚或ひは街路にさまよひ或ひは人家に闖入して市民の累となりしかど市民あへてその自由を妨げざりきといふ
【贋造の貨幣を拂ひ】無效なる赦罪を賣物として
【これにより】人々の愚にして信じ易きこと(一二一―三行)により
【豚より穢れし者】妾や墮落せる僧等
一二七―一二九
以下天使の數と天使における神の榮光の顯現とを論ず
【正路】天使論
【時とともに】この天に止まるべき時少くなりぬ、さればその少きに應じて疾くかの論を進むるをよしとす
一三三―一三五
【ダニエール】ダニエル書七・一〇
一三六―一三八
【第一の光】神の光
【諸※[#二の字点、1−2−22]の輝】諸天使。かれら皆神の光を受くれど受くる度各異なるが故にその異なる度の數は天使の數と相等し
一三九―一四一
神より受くる光多ければ神を見神を知ること(會得の作用)從つて多く、神を知ること多ければ神を愛することまた深し(天、二八・一〇九以下參照)、是故に神に對する諸天使の愛各※[#二の字点、1−2−22]その強さを異にす
一四二―一四五
【鏡】天使。神はその光をかく多くの天使に分ち與へ給へどその完全なること故の如し
第三十曲
ダンテ、ベアトリーチェとともにエムピレオの天にいたりて天上の薔薇を見る
一―三
以下の數聯にて、諸天使の輪の次第に見えずなれるを、曙の光のため空の星の次第に消ゆるに譬へたり
【第六時】正午
【六千マイル】ダンテは地球の周圍を二萬四百マイルとなせり(『コンヴィヴィオ』三・五・八○以下參照)、ゆゑに太陽六千マイルの東にある時はその地日出前約一時なり(ムーア『ダンテ研究』第三卷五八・一九頁參照)
【この世界の】地球はその圓錐状の陰を殆んど水平に西に投ず
七―九
【侍女】曙
一〇―一二
【己が包むものに】神(一點の光明)はかの天使の諸群に包み圍まると見ゆれども、實際はかれらを他の一切の被造物と同じく包容し給ふ
一六―一八
【務】vice 彼の事を敍すべき務。但し異説あり
二二―二四
【喜曲、悲曲】註釋者曰く。こは廣義の喜曲悲曲にて今の所謂喜劇悲劇の意に非ず、すべて詩風詩體の甚だ崇高醇雅なる作品を悲曲といひ、そのさまでならざるものを喜曲といへる中古の例に據《よ》りしなりと
二五―二七
【わが心より】わが心の作用《はたらき》を弱めて、憶ひ出づること能はざらしむ
三四―三六
ベアトリーチェの美は我にまさる詩人ならでは敍し難しとの意
【ほどに】ほどいと美しく
三七―三九
【最《いと》大いなる體】第九天
【光の天】エムピレオの天
四〇―四二
註釋者曰く。幸福の三段この中にあり、(一)智の光によりて神を見、(二)見て愛し、(三)愛して法悦に入る
四三―四五
【二隊の軍】天使と聖徒
【一隊を】聖徒達は光の中にかくれず、肉體そのまゝの姿にて汝に現はれむ
【最後の審判】この時至れば人間の靈再び肉の衣を着ること前に出づ(地、六・九八參照)
四六―五一
天堂の強き光にあたりてダンテの視力亂れ何物をも見る能はざりしをいふ
【物見る諸※[#二の字点、1−2−22]の靈】天、二六・七〇―七二並びに註參照
【いと強き物】極めて強く輝く物。強き光の爲視力一たび亂るれば、いかに燦かなる物といへどもその印象を目に與へざるにいたる
五二―五四
ベアトリーチェの詞
【愛】神、即ちエムピレオの天に平安を與へ給ふ者
【かゝる會釋】かく強き光
【蝋燭を】天堂に入來る聖徒を
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