の est をイタリア化したるものにて當時の散文にもその用例ありといふ(フラティチェルリ及びパッセリーニ註參照)
一四二―一四四
【福音の教へ】マタイ傳二八・一九、ヨハネ傳一四・一六、コリント後書一三・一三等
一四五―一四七
【是ぞ源】神の三一を信ずることは即ち信仰の第一義にて、その他の信條皆これより出づ
第二十五曲
聖ヤコブ、ダンテに望みの事を問ふ、その後また聖ヨハネ現はれ己が内體に關するダンテの疑ひを解く
一―六
以下一二行まで、信仰の試問を敍し終れる時ダンテはその信仰の始めを思ひて「聖ジョヴァンニの洗禮所」に及び郷土フィレンツェをしのぶあまり、たゞ一個の詩人としてかしこに歸るの望みあるを陳ぶ
【手を下しゝ】材を供せる。『神曲』は天上の事と地上の事とをともに歌へるものなればなり
【圈】フィレンツェ(天、一六・二五―七參照)
【狼】惡くして強き者(フィレンツェ市民の)
【羔】善くして柔和なる者
【閉め出す】殘忍なる敵の怨みを受けてフィレンツェを逐はれしこと(『コンヴィヴィオ』一、三・二〇以下參照)
【勝つ】この詩によりてかの市民等わが詩才を認め、詩人の譽の爲我を郷土に歸らしむることあらば
七―九
【變れる聲】地上の戀愛を歌はずして壯嚴なる天上の事物を歌ふ聲
【變れる毛】(毛は原語羊毛[#「羊毛」に白丸傍点]とあり、五行の羔に因みてなり)老いて白髮となること
【わが洗禮の盤のほとりに】「聖ジョヴァンニの洗禮所」にて(地、一九・一六―二一註參照)
一〇―一二
【かしこにて】かの洗禮所に洗禮を受けてキリスト教の信仰に入り
【魂を神に】人信仰に由て神に近づく事を表はす
【これが爲に】この信仰の爲に
一三―一五
【初果】聖ペテロはキリストがその最初の代理者として世に殘し給へる者
【球】輪を造れる聖徒の一群(天、二四・一九―二〇)
【一の光】使徒ヤコブ(使徒ヨハネの兄弟)
一六―一八
【長】barone(天、二四・一一五―七註參照)
【ガーリツィア】聖ヤコブはイスパニア、ガーリツィア州なるサンティアーゴ・デ・コムポステルラに葬らるとの傳説により、中古かの地に行きてその宮に詣づるもの甚だ多かりきといふ
二二―一四
【ひとりの】聖ヤコブ
【他の】聖ペテロ
【糧】神恩の糧(天、二四・一以下參照)
二八―三〇
【録しゝ】ヤコブ書(一・五、一七參照)に。ダンテはその頃行はれし説に從ひヤコブ書を聖ヨハネの兄弟なるヤコブの書《ふみ》と思へるなり
三一―三三
【響き渡らす】ダンテと語りて
【己をいとよく】その神人の兩性を最もよく三人に顯はし給ひし
ヤイロの女の蘇生(マルコ、五・二二以下等)、キリストの變容(マタイ、一七・一以下等)、ゲッセマネの園の祈祷(マタイ、二六・三六以下等)の時主と共にありし者はたゞペテロ、ヤコブ、ヨハネの三人のみなりき、ダンテはかゝる場合に主がかれらを教理の三徳即ち信仰(ペテロ)と望み(ヤコブ)と愛(ヨハネ)との象徴たらしめ給へりとの神學説に從へるなり
三四―三六
ヤコブの詞
【人の世界より】人間界より天上に登り來る者の諸官能はわれらの光に慣るゝによりて前よりも強く全きにいたる(熟す)がゆゑに後よくこれに堪ふるを得。
三七―三九
【山】ペテロとヤコブ。即ちさきにその強き光をもてダンテの目を垂れしめし者。山[#「山」に白丸傍点]はその位の高きを表はす
四〇―四二
神はその恩寵により、汝の生きながら登り來りて諸※[#二の字点、1−2−22]の聖徒達と御座近き天堂にて會ふことを許し給ひ
四三―四五
【正しき愛】神を愛するの愛。神に近づくをうるの望みこの愛を促すなり
四六―四八
【汝の心に咲くや】汝いかばかりの望みを心にいだくや
四九―五一
【我より先に】ベアトリーチェ、ダンテに代りて第二問に答ふ、ダンテ自ら己が望みのすぐれて大いなるをいはんは適はしき事ならざればなり
五二―五四
【日輪】凡ての聖徒を照らし給ふ神
【戰鬪に參る寺院】Chiesa militante(戰鬪の寺院)、地上の信徒。天上の聖徒をChiesa trion−fante(凱旋の寺院)といふに對す
五五―五七
是故に彼はその未だ死なざるさきに、人の世より天に來ることを許さる
【エジプト】昔ヘブライ人がエジプトに奴隷たりし事あるに因みて人の世をエジプトといへり(淨、二・四六―八註參照)
【イエルサレムメ】天堂。活神《いくるかみ》の都なる天のイエルサレム(ヘブル、一二・二二)
五八―六〇
【知らんとてならず】神によりて既に知ればなり(天、一七・一〇―一二參照)
【傳へ】世に
六七―六九
第一問の答
【望みとは】ダンテはこゝにペトロス・ロムバルドゥスの教法集(天、一〇・一〇六―八註參照)第三卷に見ゆる望みの定義を譯出せり
【先立つ功徳】人の善まづよく神恩と合する
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