距ヘ】われらの智。異本、「汝等の視力」(人智)
五五―五七
我等の智いかに力むともその自然の性としてこれが源なる神意を知るをえず、否知るに近しとさへいふをえず
【己に見ゆるもの】われらの智に映ずるところ。眞の聖意はわれらの智に映ずる聖意よりなほ遙に先にあり
五八―六〇
【汝等の世の享くる視力】人智
六四―六六
眞《まこと》の光眞の智はたゞ神より來る、その他の光は光と見ゆれど闇なり、即ち官能智を暗まし(肉の陰)または罪に走らしむ(その毒)
六七―六九
【隱所】人智の充全ならずして、奧妙なる神の定を窺ひ知る能はざること
七〇―七二
【インド】インドの西北を流るゝ河。インドの岸は異教のアジアを代表す
七九―八一
【スパンナ】「パルモ」(地、三一・六五)に同じ、約九吋
【席】法廷の
八二―八四
聖書なくば人神の正義を疑ふも宜なり、故に聖書あるにその教を信ぜずして疑ふは愚なり
【聖書汝等の】聖書嚴として汝等の上にあり、神の正義の疑ふべからざるを教ふ(默示録一六・七等)、もしこれなくば
【我とともに事を】meco s'assottiglia 我と(語り)勉めてその才を用ゐ(て神の正義を解せんとす)る
八五―八七
【おのづから】他の善を受けて善なるにあらざる
【第一の意志】神意
【離れ】神意は常に至善にして變ることなし
八八―九〇
【凡て物の】物の正しきと然らざるとはそが神意に適ふと適はざるとによりて知らる、神意に適ふこと正義の唯一の標準ならば神意の正しきは言ふまでもなし(『デ・モナルキア』二、二・五〇―六一參照)
【造られし善の】被造物の善まづ神意を動かすに非ず、謝意の放つ至善の光元となりて他の善生ず。たとへばキリストを知る民は知らざる民より福なれども是その民の徳にもとづきて知るに至れるならざる如し、その民にいかなる徳ありともこはすべて神より出でしものなればなり
以上、神の正義に關することは極めて深遠微妙にて人智のよく悟り得べき所にあらず、たゞ信仰により聖書の教へを信ぜよといひ、ダンテの疑ひを解かずして疑ひを起すの非なるを述べしなり(ロマ、九・二〇以下參照)
九四―九六
【いと多き議に】鷲を象れる諸靈の意志に。與へし者も受けし者も共に喜ぶ状《さま》を表はせり
一〇〇―一〇二
【徴號】鷲の象
【聖靈の光る火】愛に燃ゆる聖徒等
一〇三―一〇五
人信仰によらざれば救はれざるをいへり
【前にも後にも】キリスト以前にてはキリストの降臨すべきを信じ、その以後にては降臨せるキリストを信じ
一〇六―一〇八
以下一一四行まで、名ありて實なきキリスト教徒が異教能よりもかへつて罪深きを述ぶ
【クリスト、クリストと】マタイ傳七・二一以下參照
一〇九―一一一
【エチオピア人】異教徒を代表す
【罪に定めむ】マタイ傳二一・四一―二參照
【二の群】マタイ傳二五・三一以下參照
【富み】富むは神恩の裕かなるをいひ、貧しきはこれを缺くをいふ
一一二―一一四
【汝等の王達】キリスト教國の諸王
【書】審判の日に開かるゝ生命《いのち》の書《ふみ》(默示録二〇・一二)
【ペルシア人】異教徒を代表す
【何をか】いかなる非難の言葉をか
一一五―一一七
以下廣く例をキリスト教國の君主にとりて、かれらが專ら正義を施すべき地位にありながらかへつて憎むべき罪惡を行ふことを難ず
【そこには】かの書の中には
【アルベルト】皇帝アルブレヒト一世(淨、六・九七一九註參照)。一三〇四年軍をボヘミアに進め、その同士を蹂躙す
【筆】神の筆(生命の書に書き入るゝ)
【プラーガの王國】プラーグ。プラーガを首都とする王國即ちボヘミア
一一八―一二〇
【者】フランス王フィリップ四世(淨、七・一〇九―一一註參照)。嘗て獵場にあり、一匹の野猪その馬を突く、王地に倒れ、日ならずして死す(一三一四年)
【貨幣】フィアンドラとの戰ひの頃(淨、二〇・四六―八註參照)軍費に窮して粗惡なる貨幣を鑄造す
【センナの邊】セーヌ(センナ)河の流るゝ都即ちパリ。王こゝにかの貨幣を發し、民その禍ひを被れり
一二一―一二三
【スコッランド人】一三〇六年より同二九年までスコットランド王たりしロバート・ブルースの事ならむ
【イギリス人】イギリス王エドワード二世(一三〇七年より一三二七年まで王たり)の事ならむ。但しエドワードとロバート・ブルースとの爭ひは一三〇〇年より後の事なれば異説あり
【渇】領土の慾
一二四―一二六
【スパニアの王】カスティール王フェルナンド四世(一二九五年より一三一二年まで王たり)
【ボエムメの王】ヴェンチェスラウス四世(淨、七・一〇〇―一〇二並びに註參照)やボエムメはボヘミア。
一二七―一二九
【跛者】アプリア王シャルル二世(淨、二〇・七九―八一並びに註參照)。生來の不具者にてかつは名のみながらイエルサレムの王なりければ、嘲りて
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