す
一三三―一三五
【これがために】この貨幣を貪るによりて
【大いなる師】聖父の教へ
【寺院の法規】Decretali おしなべて寺院の法典を指す。僧侶等聖書及びこ高僧の著作を棄てゝひとりこの書に熱中するは單にこれによりて名譽地位從つて金錢を得んと欲すればなり
【紙端に】紙端に種々の書入れをなすをいふ
一三六―一三八
【これに】貨殖に
【ナツァレッテ】ナザレ。キリストの郷里にて、天使ガブリエルが處女マリアに神子の降誕を告げ知らしゝところ(ルカ、一・二六以下)。こゝにては聖地パレスティナを代表す
一三九―一四二
【ヴァティカーノ】ローマの名所にて聖ペテロの墓及びその宮殿のあるところ
【選ばれし地】神に選ばれて神聖となれる場所
【軍人等】ペテロの例に傚へる殉教者
【姦淫】キリストの新婦(寺院)の。姦淫より釋放たるとは貪慾の爲に亂れし寺院の政治を離るゝをいふ
但しこの解放の豫言明ならず、註釋者或ひはこれをボニファキウス八世の死(一三〇三年)とし、或は法王廳のアヴィニオンに移れる(一三〇五年)事とし、或ひはハインリヒ七世のイタリアに來れる(一三一一年)こととし、或ひは地、一・一〇〇以下及び淨、二〇・一三以下に出づる獵犬と同じとす
第十曲
ダンテ導かれて太陽天にいたれば、哲人及び神學者の靈集まりてこれをかこむ、その一トマス・アクイナス、ダンテと語り、かつこれにその十一の侶の名を告ぐ
一―六
父なる神はその子キリスト及び聖靈によりて天地萬物を創造し給へり、而してこれらの被造物の間には極めて美妙なる秩序あるがゆゑにこれを觀これを思ふ者必ず神の大能を窺ひ知るにいたる
【第一の力】父なる神
【愛】聖靈。父と子とより出づ
神學上の一論爭點なり、ダンテはトマスその他所謂|正統派《オルソドックス》の人々の説に從へり
【うちまもり】父なる神が子を通じて宇宙を造り給へるをいふ
【心または處】心に現はるゝものは靈に屬する物、空間に存在するものは物質に屬する物
【これを】この秩序を
七―九
【ところ】晝夜平分點。即ち黄道(太陽の年毎の運行)と赤道(太陽の日毎の運行)との截點(一三――五行註參照)
一〇―一二
【師】神
【目を】神はその創造の御業《みわざ》を善《よし》とし給ふのみならず、常に萬物の安寧秩序を顧み給ふ
一三―一五
【圈】獸帶。即ち冬至線を南に、夏至線を北にし、黄道に沿ひて西より東に進み、春分秋分に至りて斜に赤道を截斷する想像の大圈
【呼求むる】せは獸帶の諸星のさま/″\なる影響を要するを指す
【かしこ】かの赤道の一點
一六―一八
もし獸帶かく傾斜せずして赤道と平行せば、星の影響に變化なく同一の影響同一の場所にのみ及び、他に及ばざるが故に(多くは空し[#「多くは空し」に白丸傍点])、さま/″\の影響によりて活動する下界はその活力の大部分を失ふにいたらむ
一九―二一
獸帶の南北に傾斜する度今より多きか少き時は、温度、季節、晝夜の長短、風雨霜雪の分布等悉く今と異なるにいたり、地上の秩序爲に亂れむ、地上の秩序の亂るゝは天の秩序の亂るゝなり
【上にも下にも】天にも地にも
或は二一行の mondano を地球上の意とし「上下」を南北兩半球と解する人あり、されど一七―八行に nelciel と 〔qua giu`〕 とを對此せるより見れば前説まさると思はる
二二――二四
【疲れざる】求むるのみにて得ざれば疲る
【椅子に殘り】研究の爲に殘りて
【少しく味はしめしこと】「師の技」につきてわがこゝに少しくいへること
二五―二七
【食む】思ひめぐらしてさとること
【わが筆の】我わが長き詩題に驅られこれに心專なる爲、今茲に詳かにこの一の事を述べがたし
二八―三〇
【僕】太陽
【天の力を】その上なる諸天よりうけし力を世界に與へ
【己が光をもて】即ちその※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]轉によりて人、時を量り知るをいふ
三一――三三
【處】前記の截點にあたる處にて、この處と合すといふはなほ白羊宮の星と列るといふ如し、太陽はこの時既に截點を過ぎて北に進みゐたればなり
太陽春分にいたりて白羊宮に入り、秋分にいたりて天秤宮に入る、神曲示現の時は春なれば、こゝにては前者を指せり
【螺旋】東より西に※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]ると共に赤道を中心として或ひは南或ひは北に傾くが故にその道螺旋状を成す(『コンヴィヴィオ』三・五・一四二以下參照)、こゝにては北に向ひて登る螺旋
【早く】春分以降夏至にいたるまで太陽北に進むに從つて日は次第に夜よりも長し
三四―三六
【我この物と】我は太陽天に入りたり、されどあまりに早くして、登り行けることを知らず
【思ひ始むるまでは】思ひはからずも心に生じて、思ひのあることを知れどもその生じゝ次第を知らざる
三七―三九
【善
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