Jンツォネの起句、この解同書二・六・一五一以下に見ゆ
但し、金星天を司る天使、『コンヴィヴィオ』にては principati に非ずして troni なり(天、二八・九七―九註參照)
【少時しづまるとも】神の愛と同胞の愛との相矛盾せざることを表はす(フィラレテス Philalethes)
四〇―四二
ダンテはかの靈と語らん爲その許をば目にてベアトリーチェに請へるなり
四三―四五
【約しゝ】三二―三行
四六―四八
【新たなる喜び】問者に答へてこれに滿足を與へ己が愛を現はすをうるの喜び(天、五・一三〇以下參照)
四九―五一
【もし】我もし長命なりしならば、今より後に起らんとする多くの禍ひは、未發に防ぐをえたりしものを
カーシーニ曰く。こゝにいふ禍ひは、ラーナの説によれは貪慾なるロベルトの惡政を指し、オッチモの説に從へばアンジュー方とアラゴン方とのシケリア爭奪戰を指す、されど恐くはダンテは或る一の確たる事實を指せるにあらで、シャルル二世及びロベルトの下《もと》にナポリ王國を苦しめし種々の禍ひを總括していへるならむと(七六行以下參照)
五二―五四
光のわが身を隱すこと、繭の蠶をかくすごとし
五五―五七
【葉のみに】さらに深き根強き愛を表はせるならむ
ダンテはマルテルに對し深き敬愛と大いなる希望とを懷きゐたりと見ゆ、されど兩者の關係については定かなること知り難し、マルテルが金星天にある理由も恐くはたゞダンテのみよくこれを知れるならむ
五八―六〇
【左の岸】プロヴァンス。ローン河の東にある伯爵領地、ソルガはアヴィニオン附近にてローンに合する小川の名
プロヴァンスはカルロ一世の代にナポリ王の所領となれるものなれば(淨、七・一二四―六註及び淨、二〇・六一―三註參照)シャルル二世の死後は當然マルテルに屬すべきなりき
【時に及びて】シャルル二世は一三〇九年に死せり、マルテル早世してこの時[#「時」に白丸傍点]を見ず
六一―六三
ナポリ王國もまたマルテルの君臨を望みゐたり
【バーリ】アドリアティコ海邊の町
【ガエタ】チルレーノ海邊の町
【カートナ】カーラブリア州の南端の村
【際涯を占め】s'imborga カーシーニの説に、borghi は中古、市の境に列なれる家屋の意に用ゐたればこゝにてはこれらの町々がナポリ王國の際端にあるをいへるならんとあるに從ひてかく
【トロント】マルケとナポリとの境を流れてアドリアティコ海に注ぐ河
【ヴェルデ】ガリリアーノ河のこと(淨、三・一三―三二註參照)
【アウソーニア】イタリアの古名(ウリッセの子アウソネに因みて呼べる)。アウソーニアの角《つの》とはイタリア南方の一端なるナポリ王國を指せる也
マルテル一男二女を殘し父に先立ちて死す、而してシャルル二世の死後、マルテルの弟(即ちシャルルの第三男)ロベルトはマルテルの子カルロ・ロベルト(一三四二年死)を斥けてナポリ王國の權を握れり(一三〇九年)
六四―六六
マルテルがハンガリア王冠を戴けること
マルテルの母マリアはハンガリア王ラヂスラーオ四世の姉妹なり、一二九〇年ラヂスラーオ死して嗣子なくマルテルその王冠を受く
【ダヌービオ】ダニューブ。ドイツより起りてハンガリアを貫流する大河
六七―七五
我またシケリアに君たりしならむ、この國惡政に苦しみてその主權に背き、遂にフランス人の覊絆を脱するにいたらざりせば
【灣】カターニア灣。東風(エウロ)最も多し
【パキーノ】シケリア島東南端の岬、今カーポ・パッサーロといふ
【ペロロ】同東北端の岬、(今のカーポ・ファーロ)
【ティフェオ】或ひはティフォ(地、三一・一二四)、ゼウスの電光に撃たれシケリアに葬られし巨人、その頭エトナ山下にありて口より火焔を吐出す(オウィデウス、『メタモルフォセス』五・三四六以下參照)
【トリナクリア】Trinacria シケリアの古名(三の岬あるより呼べるギリシア名、三の岬とは前出パキーノ、ペロロの二と、島の西方にあるリリベオ即ち今のカーポ・マルサーラの岬とを指す)
【カルロとリドルフォ】父(或は祖父)のカルロと外舅ルドルフの子孫我より生れて
マルテルの妻クレメンツァは皇帝ルドルフ(淨、七・九四―六參照)の女なり
【虐政】アンジュー家の
【パレルモ】シケリアの首都にて、かの有名なるシケリアの虐殺(一二八二年)の始まれるところ。この虐殺の後シケリアはアンジュー家を離れてアラゴン家に歸せり
【死せよ】フランス人に對する群集の叫び
七六―七八
【わが兄弟】弟ロベルト(ルイ)シャルル二世自由の身となりし時(淨、二〇・七九―八一並びに註參照)、その第三子ロベルト(ルイ)は兄のルドヴィコ(ルイ)と共にアラゴン方《がた》の人質となりて一二八八年より同九五年までカタローニア(イスパニアの)に止まれり、この幽閉の間ロベルトは多くの
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