。健《すこやか》なる心をもてよくこの事を思ひみよ、わが筆|解《げ》し易く、彼等の望み徒《あだ》ならじ 三四―三六
そは愛の火たとひこゝにおかるゝもののたらはすべきことをたゞしばしのまに滿すとも、審判《さばき》の頂垂れざればなり 三七―三九
またわがこの理《ことわり》を陳べし處にては、祈り、神より離れしがゆゑに、祈れど虧處《おちど》補はれざりき 四〇―四二
されどかく奧深き疑ひについては、眞《まこと》と智《さとり》の間の光となるべき淑女汝に告ぐるにあらずば心を定むることなかれ 四三―四五
汝さとれるや否や、わがいへるはベアトリーチェのことなり、汝はこの山の巓《いただき》に、福《さいはひ》にしてほゝゑめる彼の姿をみるをえむ。 四六―四八
我。主よいそぎてゆかむ、今は我さきのごとく疲れを覺えず、また山のはやその陰を投ぐるをみよ。 四九―五一
答へて曰ふ。我等は日のある間に、我等の進むをうるかぎりすゝまむ、されど事汝の思ふところと違ふ 五二―五四
いまだ巓にいたらざるまに、汝は今山腹にかくれて汝のためにその光を碎かれざる物また歸り來るを見む 五五―五七
されど見よ、かしこにたゞひとりゐて我等の
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