れ》の中にてかなたこなたにわが顏をめぐらし、約束をもてその絆《きづな》を絶てり 一〇―一二
こゝにはアレッツオ人《びと》にてギーン・ディ・タッコの猛《たけ》き腕《かひな》に死せるもの及び追ひて走りつゝ水に溺れし者ゐたり 一三―一五
こゝにはフェデリーゴ・ノヴェルロ手を伸べて乞ひ、善きマルヅッコにその強きをあらはさしめしピサの者またしかなせり 一六―一八
我は伯爵《コンテ》オルソを見き、また自らいへるごとく犯せる罪の爲にはあらで怨みと嫉みの爲に己が體《からだ》より分たれし魂を見き 一九―二一
こはピエール・ダ・ラ・ブロッチアの事なり、ブラバンテの淑女はこれがためこれより惡しき群《むれ》の中に入らざるやう世に在る間に心構《こゝろがまへ》せよ 二二―二四
さてすべてこれ等の魂即ちはやくその罪を淨むるをえんとてたゞ人の祈らんことを祈れる者を離れしとき 二五―二七
我曰ひけるは。あゝわが光よ、汝はあきらかに詩の中にて、祈りが天の定《さだめ》を枉ぐるを否むに似たり 二八―三〇
しかしてこの民これをのみ請ふ、さらば彼等の望み空なるか、さらずば我よく汝の言《ことば》をさとらざるか。 三一―三三
彼我に
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