れんことを願へば、我もいかでか汝にこれを否むをねがはむ 五五―五七
それこの者未だ最後の夕《ゆふ》をみず、されど愚《おろか》にしてこれにちかづき、たゞいと短き時を殘せり 五八―六〇
われさきにいへるごとく、わが彼に遣はされしは彼を救はんためなりき、またわが踏めるこの路を措きては路ほかにあらざりき 六一―六三
我はすべての罪ある民をすでに彼に示したれば、いまや汝の護《まもり》のもとに己を淨むる諸※[#二の字点、1−2−22]の靈を示さんとす 六四―六六
わが彼をこゝに伴《ともな》ひ來れる次第は汝に告げんも事長し、高き處より力降りて我をたすけ、我に彼を導いて汝を見また汝の詞を聞かしむ 六七―六九
いざ願はくは彼の來れるを嘉《よみ》せ、彼往きて自由を求む、そもこのもののいと貴《たふと》きはそがために命《いのち》をも惜しまぬもののしるごとし 七〇―七二
汝これを知る、そはそがためにウティカにて汝は死をも苦しみとせず、大いなる日に燦《あざや》かなるべき衣《ころも》をこゝに棄てたればなり 七三―七五
我等|永遠《とこしへ》の法《のり》を犯せるにあらず、そはこの者は生く、またミノス我を繋《つな》がず
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