六四―六六
我は身の邊《ほとり》に翼の如く動きてわが顏を扇ぐものあるを覺え、また、平和を愛する者[#「平和を愛する者」に白丸傍点](惡しき怒りを起さざる)は福なり[#「は福なり」に白丸傍点]といふ聲をききたり 六七―六九
夜をともなふ最後の光ははや我等をはなれて高き處を照し、かなたこなたに星あらはれぬ 七〇―七二
あゝわが能力《ちから》よ、汝何ぞかく消ゆるや。我自らかくいへり、そは我わが脛《はぎ》の作用《はたらき》の歇《や》むを覺えたればなり 七三―七五
我等はかの階《きざはし》登り果てしところに立てり、しかして動かざること岸に着ける船に似たりき 七六―七八
また我はこの新しき圓に音する物のあらんをおもひてしばし耳を傾けし後、わが師にむかひていふ 七九―八一
わがやさしき父よ告げたまへ、この圓に淨めらるゝは何の咎ぞや、たとひ足はとゞめらるとも汝の言《ことば》をとどむるなかれ。 八二―八四
彼我に。幸《さいはひ》を愛する愛、その義務《つとめ》に缺くるところあればこゝにて補《おぎな》はる、怠りて遲《おそ》くせる櫂《かい》こゝにて再び早めらる 八五―八七
されど汝なほ明かにさとらんため心を我
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