ィの二性は生殖の自然の作用より成る、ひとり理性は神が直接に人間に賦與したまふ靈なり
七三―七五
新しき靈は既に胎兒の中にはたらきつゝある植物動物の二魂を己と合して一魂となし三性を兼備ふるにいたる
【且つ生き】生は植物性に屬し感は動物性に屬し自覺(自ら己をめぐる[#「自ら己をめぐる」に白丸傍点])は人間性に屬す
七九―八一
【ラケージス】ラケシス、運命を司る三神(モイライ)の一(淨、二一・二五―七註參照)。その絲盡くる時とは人死する時をいふ
【人と神と】人に屬するものは肉體に屬する能力、神に屬するるのは天賦の靈能なり
八二―八四
肉に屬する能力(感觸)は死と共にその機官を失ふが故にひそみて働きをとゞめ、靈に屬する能力は肉の覊絆を脱するがゆゑに却つていよ/\活動す
八五―八七
【岸の一】罰せらるゝ魂はアケロンテの岸に(地、三・七〇以下)、救はるゝ魂はテーヴェレの岸に(淨、二・一〇〇以下)
【路】地獄か淨火か
八八―九〇
【構成の力】魂の中なる構成の力(四〇―四二行)は周圍の空氣にその作用を及ぼしその及ぼす状態並びに程度はあたかも生時肉體の上にその作用を及ばせると同じ、換言すれば魂はその周圍の空氣をもて生時と同樣の形状を構成す
九一―九三
【日の】原、他の者の。日光、雨滴に映じて虹生ずるごとく
一〇〇―一〇二
【これ】空氣より成れる新しき體
【影】ombra 又亡靈の義あればなり
一〇六―一〇八
【あやしとする事】第六圈の魂の痩すること
一〇九―一一一
【最後の曲路】第七圈。但し ultima tortura を最後の苛責と解する人あり
一一二―一一四
左側の岩壁より火焔噴出すれば右側の縁よりは風起りてこの火炎を追返し、縁に沿ひて一條の徑路をひらけり
【そこに一の】或ひは、これ(火焔)に己(縁)を離れ去らしむ
一二一―一二三
【こよなき憐憫の神】Summe Deus clementie 寺院にて土曜日の朝の禮拜にうたふ讚歌の起句にして貞節を祈り求むる詞この歌の中にあり
一二七―一二九
貞節の第一例、聖母
【われ夫を知らず】天使ガブリエルに答へたる處女マリアの詞(ルカ、一・三四)
一三〇―一三二
第二例、ディアーナ(アルテミス)。アルテミスはゼウスとレトの間に生れし獵の處女神なり
【とゞまり】異本、走り
【エリーチェ】カリスト。アルテミスに事へたる女神(ニムフ)の一。ゼウスの辱しめをうけて森より逐はる(オウィディウスの『メタモルフォセス』二・四〇一以下參照)
【ヴェーネレ】アプロディテ、戀の女神。こゝにては色慾
一三六―一三九
【かゝる】かく聖歌をうたひかつ淑徳の例を唱ふるによりてつひにその罪清まるにいたる
【その傷つひに】la piaga dassezzo 或ひは、最後の傷(即ち最後の圈に淨めらるゝ罪)と解する人あり


    第二十六曲

ダンテ兩詩人と倶になほ第七圈にありてグイード・グイニツェルリ及びアルナルド・ダニエルロと語る
一―三
【誡】淨、二五・一一八―二〇參照
四―六
【日】四月十二日の夕陽
七―九
【表徴】ダンテの影の落つるところ焔いよ/\赤く見ゆ、身に影あるは生者のしるしなり
一三―一五
色慾の罪を淨むる魂焔の外に出づるをえず
一六―一八
【渇】ダンテの生者なりや否やを知らんとするの願ひ
一九―二一
【エチオピア】エヂプトの南にある國。インドと同じく熱帶に屬す
二八―三〇
邪淫の罪人二群に分たる、一は淫慾を恣にせる者にて詩人等と方向を同じうし一は自然に背ける者(男色)にてこれと反對の方向に進む、二群相會ふとき彼と此と互ひに接吻してしかして直ちにわかるゝなり
三四―三六
【路と幸】路のよしあし食物の有無を互ひに尋ねんためなるべし
四〇―四二
【ソッドマ、ゴモルラ】ソドムとゴモラ、罪惡(殊に男色の罪)大なるによりて天火に燒かれし(創世記、一八・二〇及び一九・二四―五)パレスティナの町の名、邪淫の罰の第一例
【パシフェ】パシファエ、第二例(地、一二・一〇―一五並びに註參照)
四三―四五
ありうべからざることを限定していへり
【リフエ】古ヨーロッパの北部にありといはれし連山
【砂地】リビアの砂漠
四六―四八
【歌】淨、二五・一二一―三參照
【叫】貞節の例(淨、二五・一二七以下參照)
四九―五一
【請へる】一三行以下
五五―五七
熟める身を世に殘すは老いて後死せるにいひ、熟まざる身を世に殘すは若くして死せるにいふ
五八―六〇
【淑女】聖母マリア。マリア、人類のために上帝に請ふ(地、二・九四―六參照)
六一―六三
【天】エムピレオの天
七三―七五
【生を善くせんとて】神の恩寵の中に生きんとて。異本、死を善くせんとて
七六―七八
【チェーザル】ガッリアより凱旋せるカエサルにむかひてローマの兵士等、カエサル、ガッリアを從へニコメ
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