リップ四世(一二六八―一三一四年)。フィリップ三世の子なり、『神曲』中ダンテ處々にその非を擧ぐ(地、一九・八五―七。淨、二〇・九一―三。天、一九・一一八―二〇等)
一一二―一一四
【身かの如く】アラゴン王ペドロ(ピエートロ三世。一二三六年に生れ同七六年アラゴンの王位を繼承し、同八二年「シケリアの虐殺」ありし後、彼地の王となり、同八五年に死す、その妻はマンフレディの女コンスタンツェなり(淨、三・一一五―七參照)
【鼻の雄々しき】シヤルル・ダンジュー一世(一二二〇―一二八五年)。フランス王聖ルイ(ルイ九世)の弟にしてプーリア及びシケリアに王たり
一一五―一一七
【若き者】ペドロ三世の長子アルフォンソ三世。一二八五年父の後を承けてアラゴンの王となり一二九一年に死す
【器より器に】父より子に
一一八―一二〇
【ヤーコモとフェデリーゴ】ハイメ(ヤーコモ)はペドロ三世の次子、初めシケリアに王たりしが兄アルフォンソの死後アラゴンの讓りを受け、一三二七年死す。フェデリーコ(フェデリーゴ)はハイメの弟、ハイメ、アラゴンの王となるに及びてシケリアを治め一三三七年に死す
【善きもの】父の徳
一二一―一二三
【それ人の】父の美徳、子に傳へらるゝこと稀なり
【與ふるもの】神。神は徳の神より出ずるものにして遺傳によりて人の有するものにあらざることを世に知らしめたまはんとて
一二四―一二六
ハイメとフェデリーコがその父の徳を嗣がざるごとくシヤルル二世もまたその父シヤルル一世(鼻の大いなる者)の徳を有せず
【プーリア、プロヴェンツァ】シヤルル・ダンジューに次ぎてプーリアとプロヴァンスを治めし者はその子シヤルル二世(一二四三―一三〇九年)なり、このシヤルルは父に及ばずして統御の道その宜しきをえず、民悲歎にくるゝなり
プロヴァンスはシヤルル一世がベアトリスを娶れる時その所領となりしところ
一二七―一二九
シヤルル二世(樹)のその父シヤルル・ダンジュー(種)に及ばざることあたかもシヤルル・ダンジュー自身のペドロ三世に及ばざるに似たり
【コスタンツァ】ペドロ三世の妻(一三〇三年死)
【ベアトリーチェ】ベアトリス。プロヴァンスの伯爵ライモンドの女にしてシヤルル一世の初めの妻
【マルゲリータ】ボルゴニアの公爵エウデの女。一二六八年即ちベアトリスの死せし翌年シヤルルの後妻となれり
一三〇―一三二
【アルリーゴ】英王ヘンリー三世(一二〇六―一二七二年)
【枝には】その子エドワード一世(一二四〇―一三〇七年)の明君なりしをいふ
【まされる】シヤルル、ペドロ等の子に比して
一三三―一三五
【グイリエルモ】モンフェルラートの侯爵グイリエルモ七世。北部イタリアに多くの地を領しギベルリニ黨の首領となりて大いにグエルフィと戰へり、一二九〇年アスチ(ピエモンテの中)の人々アレクサンドリアを唆かしてグイリエルモに叛かしむるやグイリエルモその亂を鎭めんとてかの地に赴き却つてアレクサンドリア人の捕ふるところとなり(同年九月)鐡籠の中に幽せられて死す(一二九二年二月)
一三六
【モンフェルラート】北イタリアの中なるポー川の南の地にて今のピエモンテの一部にあたる
【カナヴェーゼ】北イタリアの西部ポーの北の地。モンフェルラートと共にグイリエルモの侯爵領地たり
グイリエルモの子ジヨヴァンニ父の仇を報いんとてアレクサンドリア人と戰ひしも利あらず、侯爵領地の民久しくその禍亂になやめり
第八曲
ウェルギリウス及びソルデルロとともにダンテなほ君王の溪にありてニーノ・ヴィスコンティの靈とかたる、溪を襲へる一匹の蛇ふたりの天使に逐はれし後、彼またコルラード・マラスピーナと語りかつその豫言を聞く
一―六
【思ひ歸りて】思ひ郷に歸りて
【時】夕暮
七―九
【きかず】ソルデルロ語らず、君王の魂その歌をうたひ終りてまた聞ゆるものなければ
一〇―一二
【東】往時祈祷を捧ぐる人東に向ふを例とせり
一三―一五
【テー・ルーキス・アンテ】Te lucis ante(terminum)(光消えざるさきに)一日中の最終の禮拜の時(compieta)寺院内にうたふ祈りの歌にて夜の間の加護をねぎもとむるもの
一九―二一
【被物は】難解の譬喩にあらざれば容易にその眞義をさとりうべきをいへり
蛇は誘惑なり、天使は冥助なり、救ひの道にあるものといへどもその初めにあたりては誘惑にあふを免かれず、されどその信仰により天の冥助をえて罪を犯すにいたることなし
二二―二四
【蒼ざめ】誘惑を恐れ神前に謙りてその祐助を待つ
二五―二七
【焔の劒】(創世記三・二四參照)註釋者曰。劒に切尖なきはたゞ敵を防ぐためにて殺すためにあらざればなりと
二八―三〇
【縁】縁色は希望の象徴なり
三七―三九
【マリアの懷】聖母マリアの座所即ちエムビレオの天(天、
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