その貧しき路を求め 四三―四五
後くだりつゝ群《むらが》る小犬の己が力をかへりみずして吠え猛るを見ていやしとし、その顏を曲げて彼等をはなる 四六―四八
くだり/\て次第に水嵩《みづかさ》を増すに從ひ、この詛はるゝ不幸の溝《みぞ》、犬の次第に狼に變はるをみ 四九―五一
後また多くの深き淵を傳ひてくだり、智の捕ふるを恐れざるばかりに欺罔《たばかり》滿ちたる狐の群《むれ》にあふ 五二―五四
われ聞く者あるがために豈口を噤まんや、この者この後|眞《まこと》の靈の我にあらはすところを想はば益をえむ 五五―五七
我汝の孫を見るに、彼猛き流れの岸にかの狼を獵り、かれらをこと/″\く怖れしむ 五八―六〇
彼その肉を生けるまゝにて賣り、後これを屠ること老いたる獸に異ならず、多くの者の生命《いのち》を奪ひ自ら己が譽《ほまれ》をうばふ 六一―六三
彼血に塗《まみ》れつゝかの悲しき林を出づれば、林はいたくあれすたれて今より千年《ちとせ》にいたるまで再びもとのさまにかへらじ。 六四―六六
いたましき禍ひの報《しらせ》をうくれば、その難いづれのところより襲ふとも、聞く者顏を曇らすごとく 六七―六九
むきなほりて聞きゐたるかの魂もまたこの詞にうたれ、氣色をかへて悲しみぬ 七〇―七二
一者《ひとり》の言《ことば》と一者の容子《けはひ》は、彼等の名を知らんとの願ひを我に起させき、我はかつ問ひかつ請へり 七三―七五
最初《はじめ》に我に物いへる靈即ち曰ふ。汝は汝のわがために爲すを好まざることを、枉げて我に爲さしめんとす 七六―七八
されど神の聖旨《みむね》によりてかく大いなる恩惠《めぐみ》汝の中に輝きわたれば我も汝に寄に吝《やぶさか》ならじ、知るべし我はグイード・デル・ドゥーカなり 七九―八一
わが血は嫉妬《ねたみ》のために湧きたり、我若し人の福ひを見たらんには、汝は我の憎惡《にくしみ》の色に被《おほ》はるゝをみたりしなるべし 八二―八四
我自ら種を蒔きて今かゝる藁を刈る、あゝ人類よ、侶《とも》を除かざるをえざるところに何ぞ汝等の心を寄するや 八五―八七
此はリニエールとてカールボリ家の誇また譽なり、彼の力を襲《つ》ぐものその後かしこよりいでざりき 八八―九〇
ポーと山と海とレーノの間にて、眞《まこと》と悦びに缺くべからざる徳をかくにいたれるものたゞその血統《ちすぢ》のみならず 九一―九三
有毒《うど
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