抑《と》められ、帝國の園をその荒るゝにまかせたればなり 一〇三―一〇五
來りて見よ、思慮なき人よ、モノテッキとカッペルレッティ、モナルディとフィリッペスキを、彼等既に悲しみ此等はおそる 一〇六―一〇八
來れ、無情の者よ、來りて汝の名門の虐《しひた》げらるゝを見、これをその難より救へ、汝またサンタフィオルのいかに安全《やすらか》なるやをみん 一〇九―一一一
來りて汝のローマを見よ、かれ寡婦《やもめ》となりてひとり殘され、晝も夜も泣き叫びて、わがチェーザレよ汝何ぞ我と倶にゐざるやといふ 一一二―一一四
來りて見よ、斯民《このたみ》の相愛することいかに深きやを、若し我等を憐れむの心汝を動かさずば、汝己が名に恥ぢんために來れ 一一五―一一七
また斯く言はんも畏《かしこ》けれど、あゝいと尊きジョーヴェ、世にて我等の爲に十字架にかゝり給へる者よ、汝正しき目を他《ほか》の處にむけたまふか 一一八―一二〇
はたこは我等の全く悟る能はざる福祉《さいはひ》のためいと深き聖旨《みむね》の奧に汝の設けたまふ備《そなへ》なるか 一二一―一二三
そは專横の君あまねくイタリアの諸邑《まち/\》に滿ち、匹夫朋黨に加はりてみなマルチェルとなればなり 一二四―一二六
わがフィオレンツァよ、汝この他事《あだしこと》をきくともこは汝に干係《かゝはり》なければまことに心安からむ、汝をこゝにいたらしむる汝の民は讚むべきかな 一二七―一二九
義を心に宿す者多し、されど漫りに弓を手にするなからんためその射ること遲きのみ、然るに汝の民はこれを口の端《はし》に置く 一三〇―一三二
公共《おほやけ》の荷を拒むもの多し、然るに汝の民は招かれざるにはやくも身を進めて我自ら負はんとさけぶ 一三三―一三五
いざ喜べ、汝しかするは宜《うべ》なればなり、汝富めり、汝泰平なり、汝|智《さと》し、わがこの言《ことば》の僞りならぬは事實よくこれを證《あかし》す 一三六―一三八
文運かの如く開け、且つ古の律法《おきて》をたてしアテーネもラチェデーモナも、汝に比《くら》ぶればたゞ小《さゝ》やかなる治國の道を示せるのみ 一三九―
汝の律法《おきて》の絲は細《こまや》かなれば、汝が十月に紡《つむ》ぐもの、十一月の半《なかば》まで保たじ ―一四四
げに汝が汝のおぼゆる時の間に律法《おきて》、錢《ぜに》、職務《つとめ》、習俗《ならはし》を變へ民を新
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