くは長き學《まなび》と汝の書《ふみ》を我に索めしめし大いなる愛とは空しからざれ 八二―八四
汝はわが師わが據《よりどころ》なり、われ美しき筆路を習ひ、譽をうるにいたれるもたゞ汝によりてのみ 八五―八七
かの獸を見よ、わが身をめぐらせるはこれがためなりき、名高き聖《ひじり》よ、このものわが血筋をも脈をも顫はしむ、ねがはくは我を救ひたまへ 八八―九〇
わが泣くを見て彼答へて曰ひけるは、汝この荒地《あれち》より遁《のが》れんことをねがはゞ他《ほか》の路につかざるをえず 九一―九三
そは汝に聲を擧げしむるこの獸は人のその途を過ぐるをゆるさず、これを阻みて死にいたらしむればなり 九四―九六
またその性《さが》邪惡なれば、むさぼりて飽くことなく、食をえて後いよいよ餓う 九七―九九
これを妻とする獸多し、また獵犬《かりいぬ》來りてこれを憂ひの中に死なしむるまでこの後なほ多からむ 一〇〇―一〇二
この獵犬はその營養《やしなひ》を土にも金《かね》にもうけず、これを智と愛と徳とにうく、フェルトロとフェルトロとの間に生れ 一〇三―一〇五
處女《おとめ》カムミルラ、エウリアーロ、ツルノ、ニソが創をうけ命を棄て
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