後下に投げらる 一三―一五
ミノス我を見し時、かく重き任務《つとめ》を棄てゝ我にいひけるは、憂ひの客舍に來れる者よ 一六―一八
汝みだりに入るなかれ、身を何者に委ぬるや思ひ見よ、入口ひろきによりて欺かるるなかれ、わが導者彼に、汝何ぞまた叫ぶや 一九―二一
彼定命に從ひてゆく、之を妨ぐる勿れ、思ひ定めたる事を凡て行ふ能力《ちから》あるところにてかく思ひ定められしなり、汝また問ふこと勿れ 二二―二四
苦患《なやみ》の調《しらべ》はこの時あらたに我にきこゆ、我はこの時多くの歎聲《なげき》の我を打つところにいたれり 二五―二七
わがいたれる處には一切の光|默《もだ》し、その鳴ることたとへば異なる風に攻められ波たちさわぐ海の如し 二八―三〇
小止《をやみ》なき地獄の烈風吹き荒れて魂を漂はし、旋《めぐ》りまた打ちてかれらをなやましむ 三一―三三
かれら荒ぶる勢ひにあたれば、そこに叫びあり、憂ひあり、歎きあり、また神の權能《ちから》を誹る言《ことば》あり 三四―三六
我はさとりぬ、かゝる苛責の罰をうくるは、理性を慾の役《えき》となせし肉の罪人《つみびと》なることを 三七―三九
たとへば寒き時|椋鳥《
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