まじりて 二五―二七
轟動《どよ》めき、たえず常暗《とこやみ》の空をめぐりてさながら旋風吹起る時の砂のごとし 二八―三〇
怖れはわが頭《かうべ》を卷けり、我即ちいふ、師よわが聞くところのものは何ぞや、かく苦患《なやみ》に負くるとみゆるは何の民ぞや 三一―三三
彼我に、この幸《さち》なき状《さま》にあるは恥もなく譽もなく世をおくれるものらの悲しき魂なり 三四―三六
彼等に混《まじ》りて、神に逆《さから》へるにあらず、また忠なりしにもあらず、たゞ己にのみ頼れるいやしき天使の族《むれ》あり 三七―三九
天の彼等を逐へるはその美に虧くる處なからんため、深き地獄の彼等を受けざるは罪ある者等これによりて誇ることなからんためなり 四〇―四二
我、師よ、彼等何を苦しみてかくいたく歎くにいたるや、答へていふ、いと約《つゞま》やかにこれを汝に告ぐべし 四三―四五
それ彼等には死の望みなし、その失明の生はいと卑しく、いかなる分際《きは》といへどもその嫉みをうけざるなし 四六―四八
世は彼等の名の存《のこ》るをゆるさず、慈悲も正義も彼等を輕んず、我等また彼等のことをかたるをやめん、汝たゞ見て過ぎよ 四九―五一
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