A一は法王にして靈界の事を司り一は帝王にして物質界の事を司る、ダンテ思へらく、この二の者各※[#二の字点、1−2−22]その範圍内に於て絶對の權能を有し各※[#二の字点、1−2−22]直接に神より受けたる使命を果し、しかも相提携し相並馳して初めてこゝに人類の幸福を増し一は天上の樂園を作り一は地上の樂園を造るにいたるべし、キリストは法王の法王なりこれに背けるユダはたゞに恩師の罪人なるのみならずまた神の攝理にむかひてその刃をむけしなり罪最も重し、カエサルは皇帝の皇帝なりこれに背けるブルートゥス等はたゞに恩人を賣れる逆賊なるのみならずまた神意に基づいて地上の樂園を完成すべき國家至要の機關にむかひてその旗を擧げしなりユダにつぎての罪人といふべし
【夜はまた來れり】一三〇〇年四月九日の夕暮となれるをいふ
七六―七八
【疲れて】重力の集まるところなれば身を轉じて地心を離るゝこといとかたし
七九―八一
ルチーフェロ(ルキフェル)の腰乃ち地球の中心までくだりその後身を逆にして南半球を上りゆくが故に下るも上るも同一の方向に進むに他ならねどダンテまどひてもとの地獄に歸るとおもへりとの意
八二―八四
【とらへよ】わが頸を
【段】地、一七・八二參照
九一―九三
【何なるやを】地球の中心なることを
九四―九六
【日】時を示すに日を用ゐしは既に地獄を離れたればなり
【第三時の半】昔晝間の十二時を四分して第三時第六時及び第九時を夕とをせり、第三時は日出後の三時間なれば日出を六時頃と見做してその半即ち約七時半にあたる、再び九日の朝となりたれば歸るといへり(一一八―二〇行註參照)
一〇〇―一〇二
【淵】地獄
一〇三―一〇五
【氷】コチートの
一〇六―一〇八
【蟲】ルキフェル、地心を貫いて立てり、蟲は姿の忌むべきをあらはす詞(地、六・二二―四註參照)
一〇九―一一一
【點】地球の中心、當時の科學によれば宇宙の重力のすべてあつまるところなり(くはしくはムーアの『ダンテ研究』二卷三二一頁以下參照)
一一二―一一七
【人】キリスト
【頂點のもと】イエルサレム、インドより起れる北半球の子午線はその頂點にいたりてイエルサレムの都を蔽ふ(淨、二・一以下)
【ジュデッカ】第九の地獄第四の圓、恩人に背けるものゝ罰せらるゝところ(一〇―一五行)、キリストを賣りしジュダ(ユダ)の名による
【小さき球】ジユデッカと相當する
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