ノ終り且つ記すに俗語を以てしたればなりといへり
第十七曲
ジェーリオネ岸にあらはれて後ダンテは導者と別れてそのあたりなる第三の圓第三種の罪人即ち高利貸の群に入りこゝにフィレンツェ及びパードヴァの人々な見、やがてかへりて導者と共にジェーリオネの背に跨がり斷崖を下りて第八の地獄にいたる
一―三
【獸】ジェーリオネ(ゲリュオン)ダンテはたゞ名を傳説に借りるに過ぎす、神話に見ゆるジェーリオネはヘラクレスに殺されし三頭三體の巨人にて『神曲』中のものと全く異なればなり
ジェーリオネは欺罔の象徴なり、尖れる尾を持つは人を害するをいひ山を越え垣と武器を毀つは自然も人工もその行方を遮りとゞむること能はざるを示せるなり
四―六
【踏來れる石】詩人等の歩み來れるフレジェトンタの岸
一〇―一二
ロセッテイ(G. Rossetti)曰、欺罔はまづ義人の顏によりて人の信を得次にいろどれる體をもて人を惑はし後尖れる尾を動かして人を撃つと
一三―一五
【係蹄】人を誘ひ陷るゝしるし
【小楯】欺罔を蔽ひかくすしるし
一六―二四
韃靼人《タルターロ》及びトルコ人共に織物にて名高かりしなり
【アラーニエ】アラクネ、神話にいづ、有名なるリディア(小アジア)の織女、女神アテナとその技を爭ひ死して蜘蛛となる(オウィディウスの『メタモルフォセス』第六卷の始めにくはし)
戰ひ求めて魚を捕へんとして、こは海狸が屡※[#二の字点、1−2−22]尾を水に垂れて岸にうづくまることあるより起れる俗説なり
二五―二七
【蠍】默示録、九・一〇參照
三一―三三
【右】地、九・一三〇―三二註參照
三四―三六
【民】人の技に背ける罪人即ち高利貸
五二―五七
【嚢】家紋を附したる財嚢にて在世の日と同じくこれをみて目を喜ばすなり
五八―六〇
黄地に空色の獅子を出せるはグエルフィ黨に屬するフィレンツェの名門ジャンフィリアッティ家の紋
六一―六三
赤地に白鵞を浮べしはギベルリニ黨に屬するフィレンツェの貴族ウブリアーキ家の紋
六四―六六
白地に空色の牝豚をあらはせるはバードヴァ市スクロヴェーニ家の紋
六七―六九
【生くるが故に】世に歸りてわが言を人に傳へうるため
【ヴィターリアーノ】古註曰、ヴィターリアーノ・デル・デンテといひパートヴァの人なり、一三〇七年その郷里のポデスタとなると
【左に】罪いよ/\大なればなり
七〇―七五
【ま
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