ありや否やを見せしむべければ、汝等之と共に行け、彼等禍ひをなすことあらじ 一一五―一一七
又曰ひけるは、出でよアーリキーノ、カルカブリーナ、汝も出でよカーニヤッツオ、バルバリッチヤ汝は十の者を率ゐよ 一一八―一二〇
進めリビコッコ、ドラギニヤッツォ、牙《きんば》のチリアット、グラッフィアカーネ、ファールファレルロ、狂へるルビカンテ 一二一―一二三
煮ゆる黐《もち》の邊《ほとり》を巡視《みめぐ》り、またこの多くの岩窟《いはあな》の上に隙《すき》なく懸れる次の岩まで此等の者をおくりゆけ 一二四―一二六
我曰ふ、あゝ師よ、これいかなる事の態《さま》ぞや、汝だに路を知らば我何ぞ道案内《みちしるべ》を要《もと》むべき、願はくはこれによらで我等のみ行かむ 一二七―一二九
汝常の如く心をもちゐなば、見ずや彼等の齒をかみあはせ、眉に殃《わざはひ》の兆《きざし》をあらはすを 一三〇―一三二
彼我に、請ふ汝恐るゝなかれ、彼等に好むがまゝに齒をかましめよ、彼等かくするは煮られてなやむ者のためのみ 一三三―一三五
彼等は折れて左の堤をとれり、されど各※[#二の字点、1−2−22]とまづその長《をさ》にむかひ、齒にて舌を緊《し》めて相圖とし 一三六―一三八
長《をさ》はその肛門を喇叭《らつぱ》となしき 一三九―一四一
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第二十二曲
我嘗て騎兵の陣を進め、戰ひを開き、軍を整《とゝの》へ、或時はまた逃げのびんとて退くを見き 一―三
アレッツォ人《びと》よ、我は或ひは喇叭《らつぱ》或ひは鐘或ひは太鼓或ひは城の相圖或ひは本國異邦の物にあはせ 四―六
進んで偵《うかゞ》ふもの襲うて掠むるもの汝等の地にわしり、また軍軍と武を競ひ、兵兵と技を爭ふを見き 七―九
されど未だかく奇《くす》しき笛にあはせて歩騎動き、陸《くが》または星をしるべに船進むをみしことあらじ 一〇―一二
我等は十の鬼と共に歩めり、げに兇猛なる伴侶《みちづれ》よ、されど聖徒と寺に浮浪漢《ごろつき》と酒肆《さかみせ》に 一三―一五
我心はたゞ脂《やに》にのみむかへり、こはこの嚢《ボルジヤ》とその中に燒かるゝ民の状態《ありさま》とを殘りなく見んためなりき 一六―一八
たとへば背の弓をもて水手《かこ》等をいましめ、彼等に船を救ふの途を求めしむる海豚《いるか》の如く 一九―二一
苦しみをかろめんため、をりふし罪人《つみびと
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