アノを弾いていた。何も知らない」と主張する。
●探偵の手…………懐中電燈をつけ、ピアノのキーの上に落ち散った涙を一ツ一ツに照し出すうち、指先が感動して微かにふるえ出す。
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……………………ともったままの懐中電燈をしずかにピアノのキーの上に置き、わななく女の白い手をハンカチごと両手で強く握り締め「御安心なさい」という風に軽くたたいて慰撫する。
[#ここから3字下げ]
――その上から涙がポトポトと滴《した》たりかかる――
[#ここで字下げ終わり]



底本:「夢野久作全集3」ちくま文庫、筑摩書房
   1992(平成4)年8月24日第1刷発行
底本の親本:「日本探偵小説全集 第十一篇 夢野久作集」改造社
   1929(昭和4)年12月3日発行
初出:「猟奇」
   1928(昭和3)年11月号
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2005年9月10日作成
青空文庫作成ファイル:
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