ドンドンとたたき「出て行け」と命ずる如く入口の扉《ドア》を指す。
●探偵の手…………皮肉に屈《ま》げたり伸ばしたりして悪人を指し、嘲弄しつつ立ち上る。
◇悪人の手…………ソロソロとポケットのピストルを探り、半分程引き出す。
●探偵の手…………往来に面した窓を指し、腕時計の時間「九時半」を指し示しつつ退場……………。
◇悪人の手…………ピストルを握り締めたまま見送る。
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……………………やがてピストルをポケットに押し込み、急いで手袋をはめレターペーパーの書きかけを下の二三枚と一緒に破って、これもポケットに捻じこみ、机の上に投げ出した身のまわりのものを取り上げ、電燈を消して、探偵のあとを逐《お》うて行く……。
[#ここで字下げ終わり]
――〔間〕――
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◇美人の手登場……しずかに電燈をつける。
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……………………指環をはめ直し、指先に残っている化粧のあとをハンカチで拭い消しなぞしながら、何気なく机の案内状と葉書とを取り上げてみる。
……………………さも嬉し
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