名君忠之
夢野久作
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)延寿国資《えんじゅくにすけ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)黒田|忠之《ただゆき》が
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)叱※[#「口+它」、第3水準1−14−88]した。
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一
この話の中に活躍する延寿国資《えんじゅくにすけ》と、金剛兵衛盛高《こんごうへえもりたか》の二銘刀は東京の愛剣家、杉山其日庵氏の秘蔵となって現存している。従ってこの話は、黒田藩に起った事実を脚色したものであるが、しかし人名、町名と時代は差障《さしさわ》りがあるから仮作にしておいた。悪《あし》からず諒恕《りょうじょ》して頂きたい。
「不埒《ふらち》な奴……すぐに与九郎|奴《め》の家禄を取上げて追放せい。薩州の家来になれと言うて国境から敲《たた》き放せ。よいか。申付けたぞ」
数本の桜の大樹が、美事に返咲きしている奥庭の広縁に、筑前藩主、黒田|忠之《ただゆき》が丹前《たんぜん》、庭下
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