二人切りになった時、妙にしおれた様子をしていて、
「どうしたのか」
と尋ねても理由を云わない。あれかこれかと問い詰めた揚句ワッとばかりに泣き出すので、やっとわかるなぞいうのがあります。
もっとヒステリーなのになると、夫の顔を見るたんびに何だか淋しくたよりなくなる。男の顔を見るのが物悲しく心苦しくなる。理屈も何も無いままにこの世が心細くわびしく思われて来て、
「あたしこの頃何だか変なの。あたし一人でいたくて仕様がないの。どうぞ構わないで頂戴」
なぞ云いながら、自分でも何故そんな気もちになるのだかわからない。身に余る晴れやかな男の親切の裡《うち》に、たよりなさ、わびしさがますます深く感ぜられて来る。
「これがヒステリーというものでないかしら」
なぞ考えているうちに、とうとう本物のヒステリーにかかってしまう。かかってから初めて潜在意識を意識して、
「あなたは妾を欺していらっしゃるでしょう」
と正面から開き直り得るような事になるのであります。
こんなのになると、いくら云いわけをしてもあやまっても頑として聴き入れないようであります。眼玉が灰落しのように凹《へこ》み、胸が洗濯板のよ
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