動き流れて行くのであります。
しかしこれを正しい鼻の表現法から見れば、極めて浅薄な皮相的な研究法で、鼻の表現の真諦に入る階梯とはならないのであります。却《かえ》って一つの大きな邪道と見るべきものである事をここに特に力を入れて闡明《せんめい》しておきたいのであります。
鼻の表現法の真意義の研究に入るには、先ずその邪道なるものを飽く迄も知り抜いていなければ、その真意義なるものがはっきりとわかりにくいのみならず、却ってこの邪道に陥って又と再び本通りに帰る事が出来ないようになる恐れがあるのであります。
鼻の表現法の邪道なるものは、一度踏み込んでみると中中面白いものであります。大抵の奴はこの邪道でコロリコロリと参る……俗物は色気や欲気で誘い出し、君子はその道を以てこれを欺くといった風に、その効果が眼の前に現われます。どんな場合でもフン詰まらず、如何なる逆境でも順境に引っくり返す事が出来て、世間はどこまでも拡がって行くように見える。とうとうこれに浮されて、一生しんみりした鼻の表現の価値を認めず人間らしいつき合いの味を知らずに、しかも得々として眼をつぶる者さえ些《すく》なくないのであります。
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