士」とか「似而非《えせ》愛国者」とかいう尊号を受《うけ》ないとも限りませぬ。
喰い詰めた宗教家はよく十字街頭に立ちます。鬚だらけの穢《きたな》い姿に殊勝気な眼付、口もとして、
「アア天よ。この恵まれざる人々を……」
なぞやっております。しかしその下から、
「皆さん、欲をお離れなさい。そして私に御喜捨をなさい。私が神様に取次いで上げますから」
という情ない心境をその日に焼けた鼻に表現しておりまするために、人々に嘲笑冷視を以て迎えられております。
彼等はこれを知らずして只|徒《いたず》らに天を仰いで空しく世道人心の頽廃を浩歎《こうたん》しているのであります。思い切って鼻を往来の塵に埋めて、
「どうぞや、どうぞ」
と言う乞食よりも賢明でないものである事を同時にその鼻が表明しているのであります。
悪魔の鼻
――悪魔式鼻の表現(一)
こうして鼻の表現は絶対に偽る事は出来ないものでしょうか。どんなにうまい口前で如何ように眼や口を使いわけても、それが心にもない事である限りいつも鼻の表現に裏切られていなければならぬ筈のものでありましょうか。喜怒色に表わさずという
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