うので御座いますよ。ほんとに気が置けなくて……それにまあいつも晴々した見晴らしで御座いますこと……オヤ坊ちゃんおとなしですこと……一寸|入《い》らっしゃい、抱《だ》っこしましょう」
と口では云いながら、内心実はつまらない。長居したくない。ほんの義理で来ているので、うちにはまだ用事がドッサリあるとノツソツしていると、眼や口はニコニコしながら鼻だけどことなくソワソワしております。
デリケートな相手になると直《すぐ》にこれに感じて、ちっとも落ち着かぬまますっかり落ち着いたふりをして、
「ホントニ御ゆっくり遊ばせな。お久し振りですから」
とか何とかバツを合わせながら障子の蔭で鼻の頭をイライラさせつつ、急いでゆっくりとお茶やお菓子を出します。
双方のびやかにお茶を嘗《なめ》てお菓子を嗅いで眼や口を細くして語り合いながら、お互いの鼻同志はとっくに気がさし合ってウンザリしている。いい加減シビレが切れたところで、
「アノ……では……又」
「アラまあお宜しいじゃ御座いませんか」
と立ち上って玄関へ出る。ここで初めてどちらもホッとした鼻の表現を見せ合いながら、イソイソと出て行かれる。一方はサッサ
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