現は、鼻には無いと云ってもいい位であります。
鼻の表現はもっと深刻であります。
もっと真率であります。
もっとデリケートであります。
それだけに有意識的に相手に認められ難い。
それだけに無意識的に相手に深い感銘を与えるのであります。
眼や口がその人間の感情や意志を現わして相手の感情を刺激するものならば、鼻はその魂を表して相手の魂に感じさせるものであります。世に云う以心伝心という事は、鼻の存在に依ってその可能性を裏書きされると云っても決して過言ではあるまいと考えられます。
全霊の真相
――鼻の動的表現(九)
鼻はその人の全霊の真相を表明するものであります。そうして最も忠実にこの任務を果しているものであります。
ここまで研究して参りますと、鼻の静的表現なぞは全く問題でなくなって参ります。
その人の本心が喜ばない以上、鼻は決して喜びの色を見せませぬ。そうして内心不平であれば遠慮なくムッとした色を見せ、残念であれば差し構い無しに怨めしい色をほのめかしているのであります。
「妾《わたし》はもうとても皆様の御噂にかかるような顔じゃ御座いませんよ。毎日鏡
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