ります。
 第三には、錯覚でも何でもよろしい、鼻というものの動的表現の可能性を認めなければ、社会風教上その他万事につけて不都合なのであります。すべての鼻に絶対に動的表現が無いとすると、眼や口だけで表わしている意志や感情、性格なぞが全然虚偽であっても、その虚偽である事が永久に判明しないで済む事になるのであります。どんな悪心を蔵している奴でも顔付がニコニコしている以上、その悪人である事が永久に露顕しないで終る事が無いとも限りませぬ。ダメス王の虚偽の表現は、その鼻に依って裏切られていたものと認めた方が、神の戒《いまし》め、人の恐れとして誠に結構な実例を残すことになるのであります。さもない限り世間は虚偽の表現のみに埋め尽されて、世道人心は忽ちに腐敗し去るのであります。神は地上に何等の神的表現を見せませぬ。けれども下界の人間は、天体地上の万象を悉く神として尊信しております。さらに恐れ多い事ながら、それ等のすべての主宰として、これ等のすべてを知ろし召す唯一神の神的御在位をも信じ奉っているのであります。況んやこの明知赫燿たる神の法廷に於て、ダメス王のすべてを知っている鼻が、その有意識界無意識界の変化
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