徳用向きな――同時に千番に一番の兼ね合《あい》迄に緊張した鼻の表現であります。
 この表現を高潮させるには、先ず自分の性格、意志、感情なぞと同時に阿吽《あうん》の呼吸までも相手にわからぬようにソーッと殺して終《しま》うので、この辺は自分の「鼻息を窺っ」ているようにも見えます。同時に無意識にせよ有意識にせよ、相手の鼻の表現に対して極めて刹那的且つ連続的な注意力と理解力とを同時に集中して働かせていなければなりませぬ。それ程さようにデリケートな、そして或る一面から見れば暗い感じを持った鼻の表現で、時勢が進むに連れまして生存競争に打ち勝とうとするものは何人《なにびと》も是非共この表現の方法を一応は心得ていなければならぬものだそうでございます。
 主として性格を表わす分では、前に挙げました「鼻つまみ」の外にもっと主観的な形容の方では「鼻下長《びかちょう》」とか「鼻毛が長い」という言葉もあります。もあります位ではない、随分と方々で承わるようであります。
 御知合いの中《うち》においでになるかも知れませぬが、お美しい夫人を持たれて内心恐悦がっておられるお方や、すこし渋皮の剥《む》けた異性さえ見れば直
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