の誇り、植物式の生活には囚われないのだ。俺を束縛し得るものは無いのだ。おれは物質的に死ぬるとも精神界に活躍したいのだ」
 と宗教界、芸術界、哲学界や他の思想界なぞいう様々な霊界に飛び出してはねまわります。鳥のように天空を翅《かけ》り、獣《けもの》のように猛威を競います。そうして分相応の地歩を占めつつ、これが安全第一だと草葉にすだき、これが最高の自由だと雲に啼き渡り、これが最大の真理だと曠野に吼《ほ》えまわります。それぞれに露を吸い、果《み》を食い、又は草を噛み、血を啜《すす》って持ち前の声を発揮しております。或《あるい》は鼻の頭からやさしい長い触覚を出して、ソロリソロリと動かしながら、リンリンと人を哀れがらせ、嘴《くちばし》と鼻を兼帯にして阿呆《あほう》阿呆と鳴き渡り、又は百獣を震い戦《おのの》かせんと鼻息を吹き立てております。
 こんなのはヒョットコやおかめの鼻は免れても、天狗たる事は免れませぬ。もちろんスフィンクスから動物式に呪われている事は間違いないので、よく天狗の身体《からだ》が鳥や獣《けもの》になぞらえてあるのも、こうした感じを象徴したものではあるまいかと考えられるのでありま
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