ら追付いて来る足の速いのも……アノ三艘の片帆の中で、どれでもええから捕まえて、船頭と話して御覧なさい。四国|訛《なま》りじゃったら舟の中に、一|梱《こり》や二|梱《こり》の爆薬《ハッパ》は請合います。松魚《かつお》の荷に作ってあるかも知れませんが、あの乾物屋さんに宛てた送り状なら税関でも大ビラでしょう。荷物を跟《つ》けてみたら一ぺんにわかる事です。
 ……そのほかに爆薬《ハッパ》の出る処は、大連《たいれん》と上海《シャンハイ》ですが、上海のは大きい代りに滅多に出ません。おまけに英国か仏蘭西製《フランスでき》の上等品で、高価《たか》い上に使い勝手が違うのが疵《きず》です。大連のはやはり日本の桜印か松印ですが、これは大連から逆戻りして来る分量よりも、奥地へ這入る分量の方がヨッポド大きい。……どこへ落ち付くのか用が無いから探っても見ませんが、大連、営口《えいこう》から、満洲の奥地へ這入る爆薬《ハッパ》は大変なものです。その中の一箱か二箱がタマに抜け出して朝鮮へ来るので、ドウカすると内地のものより安い事があります。これは支那の兵隊か役人が盗んで来たものだそうですが、それだけに油断も出来ません。
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