は、王が最前蛇を見せた時の事を思い出して、思わずゾッと身震いをしました。そうして直ぐに独りで王宮を出まして、急いで紅木大臣の家へ行って見ましたが、来て見るとどうでしょう。今まで深く茂った大きな常磐木《ときわぎ》の森の間に、王宮と向い合って立っていた紅木大臣の邸宅《やしき》は住居《すまい》も床も立ち樹もすっかり黒焦《くろこげ》になってしまって、数限りなく立ち並んだ焼木杭《やけぼっくい》の間から、白い烟《けむり》が立ち昇っているではありませぬか。そうして玄関のあたりに大臣夫婦は手も足も切り離されて、方々焼け焦げたまま、眼も当てられぬ姿になって倒れております。
青眼先生は震える手で、その手足を集めて見ましたが、最早何の役にも立ちませんでした。大臣夫婦の死体は最早切れ切れに焼け爛《ただ》れて、とても青眼先生の力では助ける事が出来ませんでした。
青眼先生は余りの事に声を立てて泣き出しました。そうしてもしや一ツでもいいから助かりそうな死骸は無いかと、暗《やみ》の中に散らばっている死骸を一ツ一ツに検《あらた》めながら、奥の方へ来る中《うち》に、不図青眼先生は屋敷の真中あたりで、切れるように冷たい
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