た濃紅姫の死骸が仰向けに横たわっております。
 それをじっと見ていた紅木大臣の髪毛は、見る見る中《うち》に皆逆さに立ちました。顔色は真青になって、眼は火のように血走りました。そうして歯をギリギリと噛み鳴らし、身体《からだ》をワナワナと震わせながら、剣の柄を砕くるばかりに握り締めて、屹《きっ》と女王の顔を睨み付けましたが、やがて火を吐くような声で罵《ののし》りました。
「悪魔。悪魔。貴様は美紅ではない。女王ではない。又美留藻とかいう者でも何でもない。美紅を身代りとして青眼先生に殺させ、その次には紅矢を殺し、今は又この濃紅を殺して、この国の女王の位を奪おうとする悪魔。悪魔。大悪魔だ。根も葉もない作り事をして、美紅に化けて欺こうとしても、この紅木大臣は欺されぬぞ。その化けの皮を引ん剥《む》いてくれる。吾が児の讐《かたき》覚悟しろ」
 その声は暴風のように室の中を渦巻きました。
 そうして一歩退ってギラリと剣を引き抜いたと思うと、女王に飛びかかろうとしましたが、彼《か》の時早くこの時遅く、青眼先生がうしろからしっかりと抱き止めました。すると紅木大臣は歯噛みをして――
「エエッ、放せ。放さぬか。
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