と女王の顔を覗き込んで尋ねました。
するとこの時女王は急によろよろと立ち上りましたが、忽ち身を寝台《ねだい》の上に投げかけて泣き叫びました――
「許して下さい、お姉様。貴女《あなた》を殺したのは四人の女では御座いませぬ。妾で御座います。美留藻の美紅で御座います。昨夜まで美留藻であった妾は貴女が憎くて堪らずに、宝蛇を使って貴女の血を吸わせました。そうして……そうして……今朝《けさ》……紅玉《ルビー》に埋まった貴女を見た時……その時の悲しさ恐ろしさ……。噫《ああ》。妾は美留藻でしょうか。美紅でしょうか。噫。お父様。お母様。許して下さい。妾は兄様を殺し……姉様を殺しました。そうして妾は何故……何故死なぬのでしょう。噫、恐ろしい。情ない。死にたい死にたい。お姉様と一所に死にたい」
と死骸に縋り付いて、消え入らんばかりに泣き狂うて叫びました。
これを見た青眼先生の眼からは、忽ち涙がハラハラと溢《あふ》れ落ちました。そうして慌てて走り寄って、女王を抱き除《の》けながら――
「女王様。気をお静かに。お静かに。女王様は美紅姫で入《い》らせられます。今は御心も御|身体《からだ》も、美紅姫で入ら
前へ
次へ
全222ページ中206ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
夢野 久作 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング