眼を開《あ》いてあたりを見まわしますと……どうでしょう。最前お話しました時とは反対に、妾はいつの間にか美紅姫が今まで着ていた寝巻と着かえて、片手に宝蛇をしっかりと握って床の上に寝ております。そして直ぐ傍には妾そっくりの男の姿をした女が、あおむけにたおれているでは御座いませぬか。妾は驚きの余り思わず立ち上りました。するとそれと一所に妾の懐から一掴みの紅玉《ルビー》の粒がバラバラと床の上に落ちました。
 その時の妾の心地――それは最前妾が美紅としてお話し致しました時と少しもかわりませぬ。全く妾は美紅か美留藻か自分でわからなくなりました。妾が誰を殺そうと思って宝蛇に血を吸わせたのか、それすらわからなくなりました。今の様子では自分を殺すために自分の胸に宝蛇の牙《きば》を当てがったとしか思われませぬ。妾はあまりの不思議にぼんやりとして、眼の前に横たわっている男の姿の自分そっくりの娘を見詰めたまま突立っておりました。
 けれども暫くしてから、妾はやっと気を落ち付けて考える事が出来ました。これは屹度悪魔の仕業に違いない。何故かと云えば、美紅姫も妾も二人共同じ夢を見て、同じ悪魔の話を聞いたに違いないの
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